「国民読書年」の師走を銀河鉄道の車窓から
押し詰まりました。
今年を振り返って、驚いたことに読んだ(まともな)本は、
- 作者: 岡本真,仲俣暁生,津田大介,橋本大也,長尾真,野口祐子,渡辺智暁,金正勲
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/07/16
- メディア: 単行本
- 購入: 21人 クリック: 562回
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恥ずかしいことです。
この本の中で“エセノミスト(似非+エコノミスト)”を自称する私としては、やはりビジネスに目がいってしまうのです。
と、いうわけで感想にもならぬ戯言を…
私と『銀河鉄道の夜』
宮沢賢治の童話として、あまりにも有名な『銀河鉄道の夜』。私は小学校の図書室で、はじめてこの作品に出会いました。
私は見てのとおり“リテラシー(“IT”はつかない!)”、特に読解力についてはまったくダメな人間ですから、この作品は持て余しました。
が、同じ年頃の主人公ジョバンニの健気さ、いじらしさに、賞賛と後ろめたさを覚えました。
次の『銀河鉄道の夜』との出会いは、大学生の頃です(私はおそらく、大手をふってマルクス経済学を学んだ最後の世代かと思います)。活版所で働くジョバンニを見て
「これが“搾取”というものか!」
と、驚くとともに、
「『資本論』も小林多喜二も、このような少年が活字を組んでいたのか!」
と、かなり勝手な想像をして、勝手に感慨にふけっておりましたっけ…(もっとも、マルクス主義が消えつつある、自分の意識としては“この現金収入こそが、ジョバンニとその母を支えている”という見方をしています)。それにしても、このころの印刷会社は、労働力比率が高く、問屋制家内工業に近いイメージです。
ともあれ、写植オフセット・電算写植の時代に入ると、機械も高額になり、急速に資本の集中が進みます。自前で編集・印刷・配送まで自前で行う新聞社はともかく、大日本印刷・凸版印刷の2大印刷会社が圧倒的に群を抜いて行きます。
ここまでの動きは、まさに高度経済成長の一面です。いわゆるマスメディアといわれるものを可能にしたのは、放送と印刷技術ではなかったかと思わせる場面です。
しかしながら、平成元年の大納会で東証最高値を記録して以降、平成という時代そのものが“ゆるやかな低落”の時代であり、マスメディアも、また例外ではありませんでした。
広告費を通じ持ちつ持たれつのマスメディア
実は、マスメディアというもの、お互い持ちつ持たれつの関係にあります。といのも、お金の流れのこと。新聞・放送・出版(書籍・雑誌)各々が払い合っている広告費は想像に絶するものがあり、
・図録)広告費の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/5650.html
ちなみに、ご存じのとおり、新聞と放送(東京キー局)とは深い(資本)関係を持っています。この三者相互の広告費=カネの流れがスパイラル下降することだけでも、そら恐ろしいことになります。
文字・活字文化法とは
ちなみに、今年は「国民読書年」でありましたが…
・日本の図書館情報学チャンネル10大ニュース大賞2010!
https://spreadsheets.google.com/viewform?formkey=dEdQQkc0VGR0aTRhWWRPNTVjNXRoLUE6MQ
募集の際も、あやうくエントリーすら危ぶまれた状況でしたね。
そもそも、この「国民読書年」というのは
・文字・活字文化振興法(平成十七年七月二十九日法律第九十一号)
http://hourei.hounavi.jp/hourei/H17/H17HO091.php
制定・施行5周年を機会にした取り組みでした。
じゃあ、読まない
その「文字・活字文化振興法」。いま、改めて条文に目をとおすとおもしろいんだよなぁ、これが!
たとえば、第二条では、「定義」として
この法律において「文字・活字文化」とは、活字その他の文字を用いて表現されたもの(以下この条において「文章」という。)を読み、及び書くことを中心として行われる精神的な活動、出版活動その他の文章を人に提供するための活動並びに出版物その他のこれらの活動の文化的所産をいう。
つまり、
文章=活字その他の文字を用いて表現されたもの
だるということ。ある程度の普遍性はあるとはいえ、むしろ“アンチ電子書籍”、あるいは「出版保護法」とも呼べる内容であります。
その「国民読書年」。キャッチフレーズは「じゃあ、読もう。」でしたね。
冷静に考えれば、実に不可思議な法律であり運動です。読書というものは、個々人が自らの意思に基づき、それぞれの求める主題について主体的に取組む行為です。強く読書を奨励することなど、本来の「読書」から外れた所為。“笛吹けど踊らず”は少し無粋な感もありますが、“運動して読書”とはいかがなものか。むしろ国民全員本当の意味で“運動”して汗かいてメタボ撲滅の方がよほどいいと思います。
それでも、この一年間まともな本が
- 作者: 岡本真,仲俣暁生,津田大介,橋本大也,長尾真,野口祐子,渡辺智暁,金正勲
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- メディア: 単行本
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