図書館大戦争、再び? 出版流通と図書館調達と職員問題と

このタイミングは…

先日、かなりやばいエントリを書いたつもりではありましたけど、あとで考えてみれば、来客者が、いまのところ0に等しい状態である*1このブログなぞ問題にもなるまいとて、お気軽に続きを書こうと思ったのですが…
絶好、というか、先を越されたかたちで、

・猪瀬副都知事、図書館の貸出し主義を批判(新文化 - 出版業界紙 - ニュースフラッシュ関連ページ)
 http://www.shinbunka.co.jp/news2012/02/120209-01.htm

猪瀬氏が、「副都知事」としてか、「著作者」としてのご発言かで、この記事の「重み」も自ずと違ってきます。

再販売価格維持制度と図書館

再販売価格維持制度については、競争促進の見地からかねてより、各分野において縮小・削減がされてきたところです。書籍も中曽根内閣の“臨調・行革路線”のあたりから、見直しの対象として攻防が繰り広げられてきたのは周知のとおりです。
現在、「非再販商品の期間限定での流通や、一部業者による時限再販」など、弾力的な運用を行っていることで「小康状態」を保っているかのようにみえます。
しかしながら、これまでの紙媒体とは異なる形態の書籍、そう、「電子書籍」「電子出版」の取り扱いを巡って、公正取引委員会と業界団体との攻防が再燃するかもしれない、そのようなナイーヴな時期にあたります。
このような中で「図書館=官」が率先して入札=競争=価格破壊を行っているとなれば、再販制度を維持する側にとってまことにケシカラン話になるのは当然です。

猪瀬氏の発言は図書館員にとっても「味方」に

入札を行っている公立図書館は案外多いのです。
ウソだと思ったら、「入札情報 図書館」で検索してみてください。ビックリするくらい多いです。
それでは、図書館にとって「入札」にうまみというかメリットはあるかといえば、あまりないと思います。確かに値引き分資料費は実質上増えるように思えますが、この差金の分、次年度の資料費が削減されるのがオチです。
手間はかかる、調達に時間はかかる、等々図書館員にとってのメリットは限りなくゼロといっていいでしょう。
先述の記事で猪瀬氏が

競争入札には「地域社会を維持していくための弊害になっている」

これは、「入札」そのものへの批判であり、図書館にとっても(この場限定で)救世主たる発言ともいえます。

蛇足

本日は、もうひとつのテーマである

  • 図書館の地元書店からの調達・還元

について書こうと思いましたが、残念ながら今日はやる気がないので、後まわしにします。
かわりに、久しぶりに「新文化」を見ての感想をひとこと。
“図書館の自由”が官憲を仮想敵としてきたのは、関係者の間では通説となっています。同様にペンクラブや出版団体等も“官”を仮想敵視しています。その“官”とは、公正取引委員会だけでなく図書館も含まれているのですね。ただし敵対関係とはいっても共通の基盤〜健全なる出版文化の継承〜という土俵にあがれば、「呉越同舟」もありかと思います

*1:さる図書館復興プロジェクトを辞して以来、この方面の方々が去ったしまわれたので