選書の重みを本当に知るなら…
前回、よせばいいのに「図書館委託史」について、生意気にも勝手なことを述べました。
私は図書館の委託事始めを「電算化とMARC」と仮定してしまいましたが、実際のところその根っこは深いことをid:shomotsubugyo さまのコメントでご教示いただきました。
整理を委託に出す初めは、昭和22(1947)年にJLA自身が請け負ってのことであったと『公共図書館の論点整理』p.128にありますね。それがカード事業部になり、才覚があれば団体の金儲けになったのに逆に大赤字、ほっぽりだしたのが里子に拾われて無事育ったのがTRCだとあります。
うむむ。なるほど浅はかでしたね。ご教示いただきましたid:shomotsubugyo 様には、この場をお借りしてお礼申し上げます。
一方、神妙に拝聴すべきご意見のところ、
“才覚があれば団体の金儲けになったのに逆に大赤字”
のくだり、思わず吹いてしまいました。まさに“司書の商法、ここに極まれり”という印象。
それでも、バブルの崩壊と新館建設(よく考えりゃ、これも“スクラップ&ビルド”だよな…)で、JLAが大赤字になったとき、TRC株の売却でJLAは大いに潤ったのですから*1
- 憎まれっ子世にはばかる
- 家貧しくて孝子顕わる
と、いったところでしょうか。
で、さっそく調べてみるとあまりにも有名な本
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引用すると、
目録作業はカードに書誌的事項を記載することと、カードを配列して目録を作ることに分けられる。このうちカードを作ることを各図書館でそれぞれに行うのは無駄であるから、国立国会図書館か日本図書館協会の印刷カードを使用したい。
と述べております。
JLAより先にNDLを持ち出すところが、奥ゆかしさというか、「司書の商法」を感じさせてしまいます。
同時に、司書最後の砦ともいうべき「選書」について
選書することを各図書館でそれぞれに行うのは無駄
という見方もできそうですね。
ただし、私は選書は各館それぞれに行うべきであると同時に、「選書」と「カウンター」を分離している現状はやはり誤りだと思います。
零細分館であると同時に、私の個人経営的な館を切り盛りした私の経験ですが…
私は、自分が選んだ本はすべからく
「選んだ理由」
を説明できるよう心がけていました。この選書の際の書誌的事項や主題についてのわずかな知識が、接客で圧倒的に役立つのです。
選書とカウンターの「分割統治」には、こうしたフィードバックがない。
“鍛えられた司書が選書をする”
というのは、少し違うかな。
“選書で司書を鍛える”
という、発想が必要ですね。
でも、実に悲しいのは、事務室に閉じこもり
“選書こそ我が(司書)人生”
と誇る輩にかぎって、専門性のカケラも感じられなかったことです