図書館学教育・図書館情報学教育に過剰な要求をする「現役正規諸君」が図書館をダメにする

お決りのセリフ

3月になりましたね。地方自治体の(会計)年度末・年始も近づいてきました。
最近の公立図書館@直営では、人事異動よりも
非正規職員の雇用打ち切り
による出入りの方がよほど多いような現状も耳にします。
4月になると、新たに採用された方々(もちろん、非正規が大多数でしょう)が配置につくと、例によってボヤキ節ですね。
「最近の新卒司書って…(以下略)」
と、ボヤいているうちはまだいいのですが、
「最近の司書養成課程じゃ、いったい何を教えているのかしらねぇ…」
「図書館教育は“即戦力”のある人材を育成してくれないのかな」
などと、云い始めます。
いい加減聞き飽きたセリフばかりなので、辟易すると同時に
「だったら、オマエが教えてやればいいだろさ」
と、云っちゃう時もしばしあります。
これに対する彼ら彼女らの答えはあとの「お楽しみ」にしておくとして…

OJTの重要性

すべてのプロフェッショナル=専門職というものが、その資格をもって教育・学習の終了を意味するものではないことは明らか。医師にしろ看護士にしろ美容師にしろ、資格の取得がすなわち実践力を約束するものではありません。
ま、少なくとも学校をでたばかりの医師について雇用した院長が
「即戦力にならんじゃないか!」
とか、大学に文句をいうことはないですね。
そこで必要なのは
OJT=On-the-Job Training
職場の先輩各とかボス*1が、新米司書に対し、実務を通じて、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを指導してやればよいのです。
私の経験では、やはり“こまったちゃん”的な新人司書と出くわすこともあります。
たとえばNDC291を、
「ニヒャクキュウジュウイチ」
と読む“司書”もいました。
キリッと、
「その読み方はダメです! ニィ! キュウ! イチィ! ですよ!!」
というだけでは効果なし。
このような場合には、NDCの階層構造に言及しながら「2」「9」「1」という「記号」一つ一つの意味を教えるべきでしょう。
もちろん
「時間がない」
「忙しい」
という事情があるでしょうが、どんなに忙しくとも「注意」に一言コメントとか解説なりを付与して「教育」にできる場面は多いはずです。それができないというのであれば、その先輩なりボスの力不足をPRしているのようなものです。ましてや、それを図書館教育学に転嫁するとは、まったくもってもってのほか。

消耗品だから

公共図書館関係の専門職集団だの研究会とかの中の人たちって、ことあるごとに
「専門性の蓄積」
を口にします。ごもっともなハナシですが、「図書館」という組織そのものの「専門性の蓄積」についての重要性がどこまで語られているか怪しいところです。
逆説的にいえばシステマティックに職場教育を放棄し、図書館司書養成課程に期待するだけの公立図書館員が少なくないことで
「専門職としての司書職の確立」
ができなかったとも思ったりします。
さて、先述の
「だったら、オマエが教えてやればいいだろさ」
と、云ったときの正規司書の答えの一例ですが…
「どうせ、2〜3年で止めていくのだし、他にも代りはいるし…」
やれやれ、「消耗品」扱いですか?

*1:ラスボスか小ボスかは問わない