図書館員リクエストアワー

司書が「本をすすめる」功徳

先日、「公民館報」の図書館関係原稿がまるでダメなことをお話しました。

・私がチラ見した「ベストセラー」重視・偏重1
 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20120520/1337516679

大きな声では言えないのですが、わが公民館内にある分館のマネージャー@委託業者さんに、書き直しをお願いしました。
彼女は、非常にためらうとともに、とまどいを隠せない表情でした。
「お客さんに、なにをすすめていいのか、わかりません」
とのこと。
私は、とりあえず三点だけ…

  • 利用者を「群」としてとらえるな、老若男女あらゆる人をそれぞれイメージする。
  • 次に、各階層とか職業・在学それぞれの方が、何に関心を寄せたり、問題意識を抱えていたりしているかを想像する。
  • そのためには、社会全体がどのような問題が重要視されたり、興味を惹いたりしているか、把握することも大切。

このブログでは、辛らつでキビシイことを云ってばかりいる印象があると思いますが、日ごろの私はいたって寛容です(ってか、単に他人に面と向かってダメ出しできる度胸がないだけのハナシです)。
はたして、初回持ってきた原稿はあまり感心できなかったのですが、私は感謝とねぎらい、そして「勇気」を褒め称えました。人間はじめておこなうコトには「勇気」が必要ですから…
まぁ、初回としては“上出来”であると、まぁ、お世辞を述べ、いずれ時期を見て“助言(=おせっかい)”してやろうと思っていたのですが…
その後、ほんの2か月、3回目の原稿では見違えるくらいよくなっている、これにはこちらが腰を抜かすほどたまげました。
思わず、それを口に出すと
「あれから、カウンターに立つ自分が変わったような気がする」
とか、
「利用者さんが、なにを求めているのか、常に考えるようになった」
とのこと。
パスカルだか誰かが、
「人間は考える葦である」
と述べていましたが、司書もカウンターに立っているだけではなく“考える”存在でなければなりません。
司書が「推し本」をもつ、あるいは考えるということ。これは「貸出し」や「レファ」のみならず幅広い分野で応用ができ、その意義は大きいと思います。

「推し本」を考える

で、話題といえば、
“またか!”
とお叱りいただくような、AKB48ネタです。
いま、「AKB48選抜総選挙」が話題ですが、マニアだけのイベントとして、
「AKB48リクエストアワーセットリスト」
があります。
一言で説明するなら、「曲」の人気投票です。
この結果をみると、なかなか興味深い。2012年のTOPは「ヘビーローテーション」で、昨年度に引き続いてのTOPです。栄えある「日本レコード大賞」をGETした「フライングゲット」でもなければ、「ヘビーローテーション」を上回る売上を記録した「Everday,カチューシャ」でもないということです。つまり、人気は必ずしも、セールスや「格付け=受賞の有無」とは関係ないということ。
もうひとつ、2012ではベスト10からはずれ12位になりました「君のことが好きだから」。この曲、「RIVER」のC/w。つまり昔流にいうと「B面」にあたる曲だったのです。2010年では2位、2011年では6位と、「A面」の「RIVER」を上回る成績(ちなみに「RIVER」は5位(2010年)、14位(2011年)、54位(2012年)という結果)を残しているのです。
これは興味深い現象。なぜなら同様に「短編小説」の中の一編が表題作を上回る人気を集める、ということ。このあたりから、司書の「推し本」とか「推し編」を情報交換したら面白いと思いますが、名づけて
「図書館員リクエストアワー
あ、もしかしてオタクの図書館、内容細目は入っていない?!
こりゃまた、お呼びでなかったようで…