武雄市立図書館とツールバーの「野望」

Tポイントツールバー

私は「Book−Off」のTカードを所持しています。
が、最近ではあまり使用していません。カードに「BOOK OFF」のロゴがはいっているからではなく、あまり所持している魅力がないからといえます。
さて、巷ではTツールバーについて話題になっていましたね。

・Tポイントツールバーの検証〜togetterまとめ
 http://togetter.com/li/352977

まぁ、わずかなTポイントと引き換えに、スパイウエアを入れるようなものです。こんなもの誰が使うのか、理解に苦しみます。
で、このような商法をはじめたということで、CCCと武雄市立図書館との関係を見直す必要がでてきました。
前々回エントリで紹介した

・そろそろ民間は図書館にはそぐわない,って単純にいうのはやめようぜ
 http://d.hatena.ne.jp/yuki_0/20120723/1343003611

このエントリでid:yuki_0氏は、次のように述べてます。

指定管理会社は,素敵な「ショールーム」をつくるために,コスト度外視でそれを作りに来るという点については,過不足なく押さえておく必要があるでしょう(武雄もそうなるんじゃないかなー.だから武雄はある意味ではハッピーかもしれない).で,後発の連中は,だからあそこの「会社」だからうまい図書館作ってくれるだろ,みたいな期待は,多分持たない方がいい.

私は、氏の意見には賛成だった、というよりも同じ見方をしてきたわけですが(自分でも過去エントリでも書いてます。ただし、氏の記述のほうが簡潔でよくできているので拝借したまで)、このような商法をするからには、少し疑問符をつける必要が出てきました。

なぜ、非上場なのか

今日、その輝きはあせたものの「東証一部上場」とは、事業者としてメジャーリーグ入りを果たしたにも等しい。今でも「東証一部上場企業の社員」といえば箔がつく。それを自ら取り下げるのはおかしい、少なくとも知名度ダウンはまぬがれないところです。ところが、CCCはMBO(マネジメント・バイ・アウト)の手法を用いて、自ら東証一部上場をとりさげています。
不祥事はともかく、自ら上場を取り下げるには、特に敵対的買収の脅威から逃れることがまず挙げられましょう。ただし、CCCにはそれをする理由はありません。
CCC自身は、ニュースルルースで、

MBO の実施及び当社株式等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
 (2010-02-03)
 http://www.ccc.co.jp/fileupload/pdf/news/MBO_final.pdf

次のように説明しています。

また、当社は、上場会社の責務として、市場との対話を充実させるための積極的かつ詳細なIR 活動を実施して参りましたが、増田宗昭氏は、「世界一の企画会社」を目指している当社にとっては、IR 活動の中で、企画会社としての当社の経営戦略等の企業情報を提供すればするほど、新規事業に関する当社のコア戦略が競合他社に模倣され易くなる結果、収益の機会損失に繋り、ひいては株主その他加盟店及び従業員を含む各ステークホルダーの中長期的な価値を毀損する可能性も否定できないという、企画会社が上場しているが故の問題も抱えていると考えております。

不祥事でも敵対買収の脅威もない以上、上場廃止を目的するメリットとしては次のようなものしか考えられません。

  • 株主の意向(配当率、定款の変更、役員人事など)に左右されない即断即決型の経営
  • 情報開示が年一度の有価証券報告書の提出と、半期報告書の提出で済む
  • 上場企業に比べて各種監査も簡略化できる

などです。
今回、IR活動を邪魔だと公言したことで、「株主」に対する「説明責任」を含め、CCCとしては秘匿性とか機密性を重視し、会社そのものを「クラウド」にしてしまうような印象。

それでもやはり「武雄」は必要

まぁ、こうしてみると逆にCCCにとっては「武雄」は、ぜひ仕事をとりたいところです。
東証上場から消えたということは、官公需契約上の優位は同業他社より下がります。
東証上場は、まがりまりにもコンプライアンスとかIRとかで企業の公正・透明性を求めていますから「信用」があるのです。CCCはその逆をいってます。それが故に「武雄」はぜひ我がものにして「官庁実績」をつくりたいと思うのではないでしょうか?