企業倫理をステークホルダーごと捨てる〜CCCの“仁義なき商売”〜

前回に続いて、CCCについてです。
Tポイントカードが「限りなく不正指令電磁的記録に該当する可能性が高い」に相当するという見解が述べられました。

・Tポイントツールバーが立派なマルウェアである件
 http://d.hatena.ne.jp/Tariki/20120813/p1

周知のとおり、“貸出しバカ一代”を自称する“バカ”ですから、一読しましたがコメントできるようなアタマもっていないので、ここはノーコメントにさせてもらいましょう。

株主に優しい?

ただし、バカはバカなりに悩みはつきません。

・真相が知りたい「TSUTAYA運営のCCC、MBOで非上場化へ」
http://www.xhotzone.net/vh/y11/vh11020703.php

を読んで、ますますナゾは深まるばかり、アタマ冷やしても無理かもしれません。
この中で、前回以上にナゾが深まるのは、同社のステークホルダー、わけても顧客と株主について、上記記事を読んで思いつくままに…
文中、

こうした環境下で、競争優位を維持しながら、企業価値を向上させるためには、「さらなる経営資源の集中と選択が必要」とし、具体的には、 TSUTAYA FC事業のビジネスモデル転換、TSUTAYA直営店の収益強化、Tポイントなどアライアンスコンサルティング事業の成長、配信サービスなどインターネット関連業界の企画開発や店舗価値向上、既存店モデルチェンジなど、「業態転換を含む事業再構築が必要不可欠」とする。
その場合、短期的に売り上げ規模の縮小や利益水準低下、キャッシュフローの悪化などが予想され、株主等への悪影響が見込まれる。加えて、 IR活動の中で、経営戦略などの企業情報を提供することで、新規事業に関するコア戦略が他社に模倣されやすくなり、「結果収益の機会損失につながり、株主や加盟店、従業員などを含むステークホルダの中長期的な価値を棄損する可能性も否定できない」と説明。

と、ありますね。
かつて、国民的電力会社の株で大損し、国民的航空会社のあおりで株価が下落したT電鉄株で資産の目減りを体験した私にとっては、
「そこまでお気遣いいただいて…」
う〜ん、涙が出ます。
が、それとはウラハラに

今回のMBOについては、2つ指摘すべき点がある。1つはTOB価格。今回の600円は、決議直前となる2011年02月02日終値に32.7%のプレミアムを乗せた水準。トムソン・ロイターの集計によると、2010年1年間に発表となった33社のMBOのプレミアム平均値は52%。32%は、必ずしも十分なプレミアムが乗っているとは言い切れない。

とは、少々セコい価格設定ですね。

おかしな説明

そういえば、

2011年02月03日会見した増田社長は非上場化を目指す理由について、株主、社員、取引先、顧客の4者と関係を持ちながら経営するなかで、上場していると株主向けの対応に傾斜してしまうと指摘。顧客をめぐる環境が変化するなかで「もっと顧客に向き合わなければいけないと感じた」と述べた。

なんといっても、TOBですからトップの意思決定に難癖つけるつもりはありませんが、これは奇怪。社長さんの見方には、正直50歳がらみの初老男はついていけません。
健全な企業と経営者であれば、

  • 社員が持株制度を利用して自らの資産を形成し、かつその資産価値を高めるよう精勤・愛社の精神が育まれること
  • かつての「株の持ち合い」ではないが、友好的な資本関係は取引における信頼関係を生み
  • マトモな会社であれば、ユーザーなりカスタマーが「株主」になってもらうことで、いっそうのご愛顧いただく

ようなことを望むはずです。

ステークホルダー切り?

まぁ、ステークホルダーについて、このような扱いに出た背景には

IR活動による事業戦略公開が他社に模倣されるなどの問題、当面大規模な資金調達の予定がなく、ブランド力や信用力も備えており、上場を維持するメリットが少ないこと、などを挙げている。

ということもあるでしょう。
ただし、MOBに向かう説明や事情・背景とするには、納得しかねます。
ここでおぼろげに見えてくるのが、同社の説明責任の不足ぶり。
企業の社会的責任(=CSR: Corporate Social Responsibility)には、「説明責任」が当然含まれます。
その相手といえば、トーゼン「ステークホルダー」。
つまり「ステークホルダー」を削減することで「説明責任」ひいては「CSR」をも削減したいのでしょうか、私にはそうとしか思えません。

スタバが示す結束は低い、「Tカード同盟」?

で、さて「Tカード」のことですが

しかし、主力事業の「CD・DVDレンタル市場」は成熟期を迎え、他社との競争も激化。さらにインターネットコンテンツ配信の加速も見込まれるほか、国内人口の減少など、経営環境は厳しくなっていると分析する。
こうした環境下で、競争優位を維持しながら、企業価値を向上させるためには、「さらなる経営資源の集中と選択が必要」とし、具体的には、 TSUTAYA FC事業のビジネスモデル転換、TSUTAYA直営店の収益強化、Tポイントなどアライアンスコンサルティング事業の成長、配信サービスなどインターネット関連業界の企画開発や店舗価値向上、既存店モデルチェンジなど、「業態転換を含む事業再構築が必要不可欠」とする。

という同社であるが、その「選択と集中」はうまくいっているのか、という疑問が個人的にはでてきます。
少なくとも“ハンザ同盟”ならぬ“Tカード同盟”は、うまくいっていない、スッキリしていない。その証拠が

武雄市立図書館への「スターバックス」出店が決定
 http://www.ccc.co.jp/company/news/2012/20120814_003421.html

たしかに代官山蔦谷書店を移植する、という基本方針に忠実であることはまちがいないようです。
ただし、同社が真にTポイントの普及と加盟社との関係を重視するなら、スターバックスではなく、ドトールエクセシオールカフェを選ぶでしょう。
CCCにとっては、スターバックスの方がブランド・イメージ等で選びたくなる理由はわかりますが、正規「Tポイント加盟」たるドトールを捨て、スタバを選ぶのは、働き者で庶民的な古女房を捨て、新築したマンションに外から愛人向かい入れるようなもの。まぁ、正直「倫理的」とか「まっとうな商売道」とは無縁な運営です。
スタバにとっては、話題づくりでメリットあることは事実でしょうけど、反面CCCの“なりふりかまわない”“仁義なき”商法が見えてきましたね。まるで「Tツールバー」みたいです。
でも、因果応報。そのうち加盟も減って信頼されない事業者として「評価」されるのがオチでしょう。

私の「選択と集中」にTカードないのよね…

うん、私「Tカード」所有しているのに、使わない(持ち歩いてない)のです。
理由はといえば、ぶっちゃけ
魅力がないから
ふだん用いているのは、

  • Edy機能付ANAカード
  • nanaco
  • Suica

の3種類です。これが私の“選択と集中”。私は自宅・職場ともに最寄コンビニがセブンイレブンですからnanacoですけど、ミニストップイオンモールの愛好者の友人はWaonを所持しています。
nanaco,waonがよいのは特典がたまりやすいから。コピー機でも使えるし便利でお徳感あり。Edyマイラー必須。
この中でSuica(無記名)だけが、ポイントはつかないけど愛用してます。なぜかといえば便利だから。小銭いらず、チケットレス、タッチ・アンド・ゴーがこんなに便利(コンビニエンス)だとは!
逆にいえば、Tカードは正直魅力に欠けますね。ポイント付与も少ないし、やはり“便利=コンビニエンス”が一番。“カルチュア・コンビニエンス・クラブ”も、その中の“コンビニエンス”を追求しないとマズいですね。だからといってツールバーは困る。
と、いうことでますますSuicaペンギンが相対的に偉く見えてきました。
だって…
SuicaならばSuicaならばモンダイない!