図書館を動かすのは若手なんだけど

このブログも終わりまで10日間を切りました。
過去のエントリを読み返しましたが、「小役人根性」丸出しのエントリばかりですから、読み手がなくなってしまっても正直無理もありません。
逆にいえば、私のように、図書館行政に正面きって取り組む図書館員がいれば、もう少し今のようなまともでない図書館界にはならなかったかもしれない、そんな気がします。
え、
「何が“まともでない”のか?!」
ですって…
まぁ、今までのエントリ見てくださいよ…

等々があります。
今日、これからお話しすることも、おそらくその一つに数えられると思います。

近頃Twitterで耳にする「図書館員の不自由」…

最近、Twitterで若手ライブラリアンの
「やり場のない思い」
に接することがあります。
賃金とか、待遇とかの

  • やり場のない悲しみ・怒り

ならまだしも、傍目でどうにも切なくなるのは

  • やり場(実行・行動力や権限)なき前向きな改善

とか、

  • やり場(発言力)なき疑問・提言

ですね。

実りの秋

季節は「実りの秋」です。栗や柿などいろいろな実りが季節の豊かさを感じさせます。
“桃・栗3年、柿8年…”
といわれていますが、芽ふきから実りまでの時間は長いものです。
ところが、昨今の図書館員の「発芽」したあとを考えると、

  • 直営職場では「雇い止め」
  • 指定管理者では「労働契約法により実質上5年まで契約*2

という現状からは、自分で考えた企画とか自分自身についても、「桃(3年)」は何とかなったとしても「柿(8年)」は危うい。「柚子(13年)」のような大器晩成型の図書館員はお目にかかれないでしょう。

地雷を踏んだらサヨナラ

「柿」で思い出しましたが、過日のエントリで、出てきた「第三(の人生)の男」。そう、
「アイツはクビだ。使えなかったから…」
「代わり(の司書)は、掃いて捨てるほどいるんだからさぁ…」
という台詞をくわえタバコで云っていたあの男、また金曜日に車イス用にメルセデスを止めてやがる、思わず柿をぶつけてやりたくなる衝動にかられました(もちろん、やらなかったけど)。
まぁ、このようなブラック業者あたりだと、たとえ前向きな発言とかまっとうな批判とかごもっともな疑問・疑念を投げかけたところで、「不満分子」にされてしまう可能性は大きいです。
なぜなら代りは掃いて捨てるほどいるから。

直営にあっても

ならば、直営職場、しかも立場の安定した正規職員でも若手が“云いたい放題”が許されるワケではありません。“職務職階制”というカースト制とか、わが国お家芸の“年功序列”があるからですね。
公立図書館界もリカウント教育は分野・対象ともにごく一部分にとどまっています。
一方、若手の図書館員は司書講習を履修して間もないから、最新の知識・理論を入手してやってくることから、こと理論とか制度について、若手の知見がベテランのそれに勝る、ということはよくあることです。
ここで、若手がうっかりベテランの仕事に一言二言云おうものなら、必然的にボス格あたりの不興をかい、プライドを傷つけ、「村八分」状態に陥ることも、」少なくないですね。

前も後ろもないミドル

まぁ、“よせばいいのに発言”で“村八分”になったことは、私も経験がありました。
ただし、世の中よくしたもので、中堅世代〜ミドル〜がそれを助けてくれました。
若手の意見を代弁したり弁護したり、また長老司書のメンツにも配慮しながら、妥協点をつくったりします。
一度は先輩にダメ出ししたアイディアを“自分の意見”のようにうまくことを運び、首尾よく成功した暁には、
「これはAさんのアイディアです!」
と“暴露”し、若手に花と自信を持たせることもありました。
残念ながら、私のあとには「正規司書」は不在でした。「非常勤のフォロー」はできるだけやったつもりですが、「非常勤職員のフォロー」は「若手の正規職員」以上に難しかったことも事実でした。

図書館を動かすもの

さて、
若手VSベテラン
という対立関係。これは結果として互いの緊張感や競争意識などを産み、図書館の推進力の一つになっていたと思うのです。
火花を散らして爆発、というと危ないイメージですが、私の自動車の中では絶えずプラグからの「火花」とガソリンと空気の圧縮で「爆発」を繰り返しています。
電車・電気自動車についても、電動機(モーター)とは「作用・反作用」の繰り返しでしょう。
ただし、そのような「光景」は過去のものになろうとしています。
なんだか図書館の“推進力”が、また一つなくなろうとする感じ・寂しさがします。
いまは、「惰性」でなんとかなりますけど…

*1:ただし、私は結果として「指定管理者」の「成果」を評価している。あくまで法令解釈・手続き上の問題として指摘しているまで

*2:http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20121009/1349785626