ふたつの熟議〜成功と失敗の本質にせまる

幸いにして一週間のうちに2回の「リアル熟議」に参加する機会に恵まれました。
1件目は、11月26日(土)横浜市で開催されました

・社会教育熟議in横浜第4回
 http://kokucheese.com/event/index/19969/


2件目は、そのあと。地元の都道府県公民館連合会の開催。日時会場等詳細を明らかにしないのは、個人的な感想があまりにもヒドかったからです。心境的には、真珠湾攻撃で赫々たる戦果をあげたあとでミッドウェー海戦でボロ負けした南雲機動部隊。オッフェンバック的にいえば「天国と地獄」といった感じでしょうか?(あくまで個人の感想です)
両者を比較することは、あまりにも建設的ではない気がしますし、両方の主催者にとっても大変失礼なハナシとは思います。しかし、両者を比較考察し、その中で「成功と失敗の本質」に迫ることは重要であると考え、とりあえず独断と偏見でレポいたします。

社会教育熟議in横浜、再び

このブログにもエントリを出しました第2回目

・社会教育熟議 in 横浜 第2回に参加しました。(2011-04-30)
 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20110430/1304160629


に続いて(第3回目はスミマセン、欠席でした)、の出席です。
テーマは、
私自身が暮らす"イマココ"をよりよくするために私自身が関わること、取り組むこと、できること。
前向きで奥深い、なかなか意義のあるテーマです。
まったくもってよせばいいのに、“中年男の厚かましさ”なのでしょうか?“ジャイアンのリサイタル”的に
「オレにも問題提起させろ*1
と、申し出てお話をさせていただきました。
私の持論として、

というサイクルや

ミッションとしての「@your kominkan (いわずとしれた、「ALA=American Library Association」のパクりです)」もお話させていただきました。
で、各グループに別れて、これまた工夫をこらした自己紹介のあとで、第一セッション(ブレインストーミング)がスタートします。
テーマは、
私たちの身近な社会教育
〜ふだんの生活の中の何気ない"これも社会教育"〜

これは、他グループのみなさんの発表ですが(自分のグループは、すみません写真撮り損ねました…)、フツーのポストイットではなく、花形の付箋を使ったところがお見事!
お花のようでもあるし、完熟した紅葉にも見えます。とにかく話題に“花が咲いた”であろうことは一目瞭然です。

さて、よく
「綺麗な花にはトゲがある」
と申しますが、どうやらこの発表もご他聞にもれないようです。
左上を拡大してみましょう。
一部がめくれてしまいましたが、

「社会教育が必要な人たち」
のくくりに
「各種公務員」
個人的にはここ、おおいにツボにハマってしまい、大いに笑わせてもらいました(これが「シャレにならない事態」になったことは後述)
特に学生さんが参加していただいて、その印象をブログに残されているのは、すばらしいことです。

・社会教育熟議in横浜と、七ヶ浜のボランティアもちょこっと
 http://ameblo.jp/m5daisy/entry-11090708857.html

翌日早朝からの公務のため、参加できませんでしたが、参加したみなさんの多くは“ギョーザDE懇親会”に行かれたようです。
うらやましい!
私も無念のあまり
“目には目を、餃子には焼売を!”

とばかり、帰りの車中で崎陽軒の「特製焼売」でヤケ酒(ビール)をあおりましたところ、居眠りして風邪をひきました。これこそ、因果応報というヤツです。

もうひとつの「熟議」

「社会教育熟議in横浜」から一週間。
自分の所属する都道府県公民館連合会主催の「熟議」の会場にいました。
おかげさまで、風邪熱は引いたのですが、私なりに期待をもって臨みました。体調は本調子ではありませんでしたが、当日は早めに会場入りし、受付の手伝いをかってでるなど、気分は好調子に。
受付簿を眺めると、一部目印がついている方がおりました。
ご担当者にきけば、
「前もって、“ファシリエーター”と“書記”は前もって決めておき、事前にご本人に連絡・承諾してもらってます」
とのこと。これをきいて本能的に一抹の不安が…
受付しているあいだ、“ファシリエーター”はグループ最年長、“書記”は最若年を指名しているらしいことがわかり、不安は募るばかり。指名されたひとたちは、どこまで「ファシリエーター」のなんたるかをわかっていることやら…
不安は的中しました。
各グループによって事情が異なりますが、私の参加したグループでは、指名された方が「ファシリテーション」「ファシリテーター」そのものへの理解が十分でなく、単なる「議長」として心得てしまい、上から目線からの発言となり、結果として「対等な立場で意見を交わす」という大原則そのものが崩壊してしまいました。
我がグループの「ファシリエーター」は、空気が読めないだけでなく、リテラシーそのものがダメダメです。
今回テーマは、
東日本大震災から復興するために公民館に何ができますか?』
東日本大震災”“公民館」”というキーワードが鮮烈なために、「ファシリテーター(に指名された人)」が、東日本震災の体験談(というより“ボヤキ節”)を居酒屋トーク的にくだけた口調で(口調がくだけたのは、“気楽にやろうゼ”というご本人なりのメッセージであったと信じたい)語られるだけで、建設的な意見“何ができるか”といった前向きで未来志向的な熟議にはなりませんでした。
「意見は付箋に書いて出しながらいってください!」
と、私も、つい強い口調で語り(これも本来はNGなのですが、この際しかたない)軌道修正を試みましたが、雰囲気は暗くなり、結果、模造紙に貼られた付箋は12枚くらいでした。グループは7人でしたので、一人二枚(件)しか意見を出さなかったことになります。横浜のお花畑は4人くらいで完成させたように思えます。この差っていったい?
もうひとつ、明らかな差は「発表」での各グループの表情です。横浜は「すばらしい時間」を皆で共有できたことの喜びが各グループみな笑顔で表れていましたね。それにひきかえ、こちらでは「お疲れ感」を共有したことの仏頂…(以下略)

何が明暗をわけたか?

この二つの熟議、あまりの落差に驚きましたが、驚いたのはおそらく私ひとりでしょう。当然ですね。両者とも出席したのは私一人でしたから…
私がボロクソに酷評した後者ですが、当然グループによっては満足したりそれなりの結果を出せた組(人)もいると思います。
それでも、私は
「熟議なんてこんなもんか!」
と、決め付けられる方も多いと想像しますし、そのような“思い込み”をされる方が多いことも悲しい限りです。
お膳立ては両者ともさほどかわりがありません。
模造紙、マジック、付箋、etc…
今回「横浜」とちがい、明暗を分けたのは

  • ファシリエーターの事前指名
  • ブレスト前の方法・進め方の説明

でしょうか?

まとめ

地域にはバラつきがあり、ジェットストリームのごとく流れている横浜ストリームに対し、ど田舎のわが県の社会教育従事者集団は“上から下に”の“滝”のような存在に思えます。
この二つの熟議、明暗を分けたのは一見「ファシリエーターの事前指名」と「テーマの不徹底」という二つの戦術レベルでの失敗のように思えます。
しかしながら、私の目にはもうひとつ、大きな歴然とした差があるように思えました。
ひとつは、
「市民活動 VS 官製研修」
であり、その結果社会教育そのものへの
「愛情・向上心 VS メシのタネ」
さらに過激なコトをいえば、ノリそのものが
「議論を愉しむ VS やっつけ仕事」
とりあえず、
社会教育が必要なのは各種公務員

の「各種」の中に「社会教育従事職員(ほんの一部ですよ、じっさいは誠心誠意とりくんでいる」を加える必要があること(もちろん、自分も含めて)を痛感し、お粗末なレポを締めくくりたいと思います。あ〜あ。

*1:原文ママではない、実際はもう少し控えめ・紳士的意志表示だった、と思うが…