趣旨は賛成だけど〜週刊新潮:“佐藤優氏の「『図書館司書』は出版社、書店でご奉公」を読んでみた

近頃少し“司書”の“反論”にあきたところよ

今更ながら、週刊新潮2012年3月1日号所載の
佐藤優「『図書館司書』は出版社、書店でご奉公」
を読んでの感想を述べます。
読む前から、正直うんざりしていました。中身以前の問題として。
このような挑発的な記事に対する図書館「業界各位」のアナフィラキシーぶりは、これまでにもイヤというほど目にしてきましたから、正直
「またかよ」
と、うんざりしてしまいます。
このようなアウトサイダーの批評・提言というのは、それなりに神妙に受け止めなくてはいけないハズなのですが…

  1. 微々たる、取るにたらない「誤り」を探し
  2. そのことを取り上げて、全体を否定しつつ
  3. 自らにとって都合のよいデータ等を用意し
  4. 「市民の図書館」等の自分たちの行動方針の無謬を宣言する

という流れ、少しあきました。

内容はわかるけど

で、内容といえば、想像以上に「常識的」なのでおどろきました。
挑発の意をこめての、「書店の“奉公”」についても、
奉公=無償ボランティア
を意味するわけではありません。まぁ、この点に関して言えば、
“図書館でパンが食えないなら、バイトしてブリオッシュ食えば…”
的な発言をしている

・官製(館製)ワーキングプア規制緩和
 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20120207/1328624232

「暴言」ならば私の方がカンペキに上行ってますね(当社比)。
図書館のスペースは限られている。緊縮財政で、書庫を増設することも難しい。
とまで言及するに至っては、感心するほかないですね。
ただひとつ、注文を」つけるなら「職員問題」にも触れてほしかったのですが…

作者の品格と編集部のミスマッチ

感心しつつも読後、(主として感情的な)妙なしこり・違和感をおぼえたような…
それは特集記事のもう一篇

中嶋博行「労働力の宝庫「刑務所」を活用すべし」

を読んで、決定的に。この篇は「死刑」と「終身刑」を混同したような笑止な文にすぎないのですが、この一篇を読んだことで思い出した一冊の本

死刑囚最後の一時間 (宝島SUGOI文庫)

死刑囚最後の一時間 (宝島SUGOI文庫)

この本に佐藤優氏が寄稿していたことを。
そう、彼は背任容疑、偽計業務妨害容疑で512日も東京拘置所に拘留されたのですね。
日の本の「公務員」の信用を失墜させ、今日なお続く「公務員バッシング」の元となった男です。
おまけに、後段の中嶋博行氏の論法からすれば、
税金を食い物にし、拘束されて512日もタダメシ(むろん、国民の税金。ただしクサいかも…)を食い、さらにその体験談を寄稿し印税をかせぐ
という二重三重にも「税金泥棒」なのですね。
まぁ、今回佐藤氏の問題提起はそれなりに有益だとおもいますが、特集の組み方が少し甘かった、というか「コンプライアンス」を疑われるヒドい雑誌ですね。
「シンチョウ」という言葉を耳にすれば、「慎重」「深長」「新調」などの奥ゆかしく清々しい言葉が連想されます。
しかし「新潮」という漢字表記を目にすると、酒鬼薔薇事件で墓穴を掘った「ケーソツ」「ケイハク」な写真週刊誌しか思い出せませんが