追記・図書館法を見直して

今回の図書館雑誌

図書館雑誌 2010年7月号(Vol.104 No.7)
  http://www.jla.or.jp/publish/bindex.html

では、巻頭に『図書館法60年の意義と課題』という、日本図書館協会理事長の論考が載っておりまして*1、この機会にと図書館法をざっとながめましたが、公共図書館職員が自分本位でこの法を都合のいいように解釈していたことを改めて感じます。
たとえば、

第三条第四項  他の図書館、国立国会図書館地方公共団体の議会に附置する図書室及び学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと。

や、

第三条第九項目  学校、博物館、公民館、研究所等と緊密に連絡し、協力すること。

などがあります。
これらは、各図書館によってかなりの温度差がありますが、全般的にみれば冷淡な扱いに思えます。

本日の“認定司書”の件、“図書館経営の中核を担いうる司書を専門職員として認定”された方々が本当に図書館法にそった運営を行うのであれば、より幅広い視野が必要になりますし、この方面(学校、博物館、公民館、研究所など)への知識関心をもたなくてはならない。ところが、認定制度は前述のとおり「公共図書館ノ司書ニ非ズンバ図書館司書ニ非ズ」が基本線。それも、現在の日本【公共】図書館協議会の現状をかんがみれば、糸賀氏をはじめとする検討チームのみに責を問うのは無理がると思い当たります(気がつくの遅すぎか!)。

司書は幅広い視野をもたなければならない
といいますが、この点についてはもはや10年前にダメ出しが出ています。そう、“図書館長職の司書資格要件撤廃”です。このときの理由が“幅広い視野と経験”をもつ人材の図書館登用の必要性が理由となったことが決め手となりました。
そのとき、図書館界(といっても、JLAと図問研連中皆様による)は反対をするだけで、「幅広い視野」や今日的にいえばコラボレーションについて検討する気配もないし、何より自分たちの「視野狭窄」に対して反省することもありません。
思えば、あの頃から
司書の権威は地に落ち
ていたのでしょうか

*1:塩見昇,図書館法60年の意義と課題〜図書館法制定60周年にあたって,図書館雑誌,104巻7号,2010年,p420〜422