今年の自分と図書館情報学を振り返り、改めて感じる“この世の中紙一重”

師走になりました。市役所の窓口も混雑しています。
日々、常々感じることは、まさに「世の中紙一重」であることです。
今日も20件以上の届け出がありました。「出生届」「死亡届」を点検し、受付時間順に並べ、重ねていきます。
さきほど火葬許可書に捺した公印を、今度は母子手帳の「出生の証明」欄に捺します。
婚約届を受け取った職員は、次に離婚届を受付しています。
かくいう、私も今日は5件の死亡届>火葬許可書と、15件の母子手帳をお渡ししました。
もちろん、「お悔やみ」「おめでとう」の言葉をそえながら…
そんな日々、不謹慎なことですが、当事者にとり

  • 死亡届=お悔やみ
  • 出生届=おめでた

ではないことです。
もちろん、8割、いや95%以上の方は、上の図式にあてはまるのですが、中にはイレギュラーなことも…。
老々介護に疲れた日々を送っていた70代の女性は、90代の老親の死亡の旨記載した除票等を受け取りながら、
「“悔い”なんかありませんよ。精いっぱいやりましたから。」
という顔には、私はフルマラソンを走り終えた走者のような、満足感・達成感に満ちていました。
一方、“おめでとうございます”の言葉で添えて母子手帳・住民基本コード通知書を渡すと、
「なにが“おめでとう”だよ!ふざけたことぬかすんじゃねーよ!」
とひったくる若い男性あり。
そういえば、「児童虐待」の保護・実態調査で警察・児童相談所が、身上調査のための書類(住民票・戸籍謄本など)を、頻繁に請求してくることを、思いだします。
もちろん、見捨てられるのは「子」だけではありません。社会福祉事務所が「親」を保護する人がいるか、やはり兄弟姉妹親子関係の調査をもとめてきます。「親」の老後を看取ることを拒否する「子」も少なくないことを感じさせる場面です。

で、図書館界にとって、今年はどんな1年だったのでしょうか?
「 ProjectLie 図書館情報学チャンネル」のみなさんが、

 ・日本の図書館情報学チャンネル10大ニュース大賞2010!
  https://spreadsheets.google.com/viewform?formkey=dEdQQkc0VGR0aTRhWWRPNTVjNXRoLUE6MQ

の投票を受け付けています。
この候補を見ると
岡崎市立図書館 図書館システム問題 (通称Librahack 事件)」
あたりが、上位に行くんじゃないでしょうか。実は、私も投票しています。
ランキングは重要度や社会に及ぼした影響なども反映されるべきですが、私個人としては(投票していうのもなんですが…)、第一位は、このような悲惨な出来事ではなくて、もう少し明るいニュースであってほしいという心情がありまして…
ちょうど“Library of the Year 2010”を受賞した
「日本最大の図書館検索 カーリル 公開」
などをあげたい感じです。
実は、「Librahack」と「カーリル」は、共通点がありまして、既存の官製図書館サービスに飽き足らない人(たち)が、図書館の外側から、より新鮮な情報を効率よく収集するためにつくった(つくろうとした)ことだからです。
皆様ご承知のとおり、「逮捕」「Library of the Year 2010」と、明暗を分かつ結果になりましたが、このふたつは案外「表裏一体」であるような気がします。
また、「Librahack」事件に対し、まったくの無力・無能ぶりをさらけ出した日本図書館協会に対し、
「Code4Lib JAPAN の創立,図書館向け技術ワークショップや技術提言を開始」
のような動きが“内側から”スタートしたことも、よろこばしいかぎりです。
また、後半、物議を醸しだした
日本図書館協会、認定司書制度の開始」
ですが、この過去の実績だけへのこだわり、“円滑な役所流年功序列の継続路線”に対して、
「図書館の若手登竜門、L-1グランプリ開催」
のような、若手の“これから”を評価しようとする取り組みが喜ばしくあります。

とにかく、今年一年間、あらゆる場面で活躍した多くのライブラリアンの皆様、
メリー・クリスマス!