私がチラ見した「ベストセラー」重視・偏重1

 このブログを、今は亡き九州発「上りブルトレ」にたとえるなら、大宮・横浜あたりまで来てしまった感じがします。こうなれば、終着まで残る大きな

RIVER

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つまり「川〜六郷川とか多摩川とか〜」を渡るべきですね。
 今回は「六郷川渡り」ということで、自分の図書館司書では絶え間なくヘビーローテーションで続いてきた「ベストセラー重視」のことについて書いていきます。

「公民館報」はじめました

 そろそろ、「冷やし中華はじめました」の掲示が待ち遠しい季節になりました。実は、この春より「公民館報」の編集・発行に携わっています。公民館や地域・団体の活動を情報収集し、周知を図るための活動です。
 実をいえば、この情報発信機能というもの。公民館はソーシャルメディアの活用等が遅れていて心苦しいことばかりなのですが、いまは「紙」媒体での活動で経験を増やそうと思っています。とはいえ、一万部以上の印刷物を編集し、印刷して地域に配布するわけですから、おのずと力が入ります。

魅力に欠く「新刊リスト」

 で、さてこの仕事に従事したことで、図書館の仕事に「接点」ができ(てしまい)ました。併設する分館の新着図書や開館日を紙面の一部にのせるだけのことです。
ちなみに「図書だより」というこのコーナー、かつては別の館で私がその部分を執筆してました。形勢逆転というか、店子が大家になった感じです。
ただし、民間委託の影響で、分館スタッフ@委託業者さんとは原則としてかかわらず。“新刊図書の紹介”は、いまや基幹業務としての「選書」だけをもっぱらの仕事をしている正規職員司書@中央館の方々が用意してくれ、図書館分館がある全公民館に原稿を毎月発送してくれます。こちらとしては、それをコピーして貼り付け、開館日等を書き加えるだけ、いたってお気楽なものです。
お気楽はいいのですが、はっきりいって面白くない。なぜかといえば、一般書はすべて文学作品ばかりだから。おそらくTRCのBell「A」と「B」契約だからでしょう。
そんなワケで、TRC選定委員会が厳選した「文学」が並びます。著名作家の本ばかりが多いだから、正直面白くないわけでして…

「文学」だけが図書館か?

 面白くない理由は二つ。
 まず、リストに掲載されているのが「日本文学」だけなことです。
 そもそも図書館司書でしたら“本が好き”ということで文学に関する熱意や愛情はわかります。
 ただし、
「くらしの中に図書館を」
をモットーに、図書館とその資料を用いての日常生活での問題解決などを主眼としていた私はまったくもって面白くないわけです。
 私ならば、ここは当然、季節や時事問題にそった“実用書”から入ろうとします。地域密着の分館であれば「生活密着」。こどもとお母さん方をメインターゲットに、弁当やおかず、お菓子づくりの本や、収納、育児などNDC590〜599あたりを前面に出します、お母さん方恒常的に悩みのタネとなっている家事・育児等の問題解決を図るというのは「子育て支援」という国策にもかなっていますよね?
 この日常生活密着路線は、山村工作隊、もとい移動図書館巡回隊あたりからの、私の習性であるし、また、それなりに実績が上げたという自負(案外図書館員の「自負」とは大本営陸海軍部発表と同じようなものですが)もありました。

ベストセラーしかオススメできないのか?

 もう一つの理由。人気作家の本ということは、ベストセラーにランクインする可能性は高いだろうな、と思われます。
「図書館=無料貸本屋」論争では、図書館の“ベストセラー追従”が一つのテーマとなってました。
 “ご意見無用の貸出男”であった私の体験ですが、図書館(員)が好き好んでベストセラーを追求していたわけではありません。
 書店にとって、ベストセラーはドル箱であり、利益の源です。しかし、図書館にとっては“悩みのタネ”でしかありません。ベストセラーはリクエストの集中をもたらし、連絡待ち・お取り置きなどに手間と時間をとられるだけの厄介者にすぎない(と、思っているのは私だけでしょうけど)のです。

  • 著名作家の本
  • 受賞作品

これらの本は、図書館が「紹介」しなくても、メディアや書店の店頭で徹底的にPRされているものばかりです。
もちろん、
「図書館にも話題の本はちゃんと買ってますヨ」
と、いいたいのでしょう。
 しかし、「新着案内」を見て、
「図書館で読んでみようかしら…」
って考えて図書館に足を運べば…

  • 現在貸出中であること
  • 確実に読むなら予約制度を利用すること
  • いまから予約した場合、借りられるのはウン週間後であること

を知らされます。
常連の方々はともかく、初心者の利用者さんは仰天するでしょうね…。その結果として、
「図書館には新しい本がない(ないわけではないが、利用できない)」
ネガなイメージを持つわけです。

(続く)