あの高名な県立図書館の売りが“パン”だったとは
地域と観光に関する情報サービス研究会(マレビトの会)に参加します
前々回エントリにも書いた、
・観光と図書館に関する勉強会を始めます(2011-01-02)
http://www.arg.ne.jp/node/6869
ですが、
「地域と観光に関する情報サービス研究会(マレビトの会)」
と、あいなりまして、私もメンバーに加えていただけることになりました。
当面、Twitterを利用して意見交換が主になるでしょうが、自分としてはTwitter苦手なので、このブログを書くことによって自分の意見をまとめていければ、と思い、今回より新カテゴリー【旅の空はうわのソラ】をはじめました。このブログであれこれ思ったことをまとめたうえでTwitterに流す、というのはどう考えても“邪道”というよりも“逆走”なのですが、そのあたりはご容赦ください。
ついでに付け加えると、このテーマに興味のある方は、今からでも遅くはないので【#tralib】で、ツイートしてもらえればよろしいと【勝手に】告知しておきます。
そもそも「観光」とは
まずは、自分自身として「観光」についてざっくりまとめておきます。
とりあえず、いくつかの辞書で【観光】を調べてみると、
国語辞典は、おおむね
- 他の国や地方の風景・史跡・風物などを見物すること。
とあり、
類語としては、
- 「見物」
- 「旅行」
などが、あがってきます。
そうなると、
観光≒旅行
となり、一般に使われている「観光旅行」とは重ねコトバのような気がしてしまいます。
また、
“他の国や地方の風景・史跡・風物などを見物”する行為を「観光」とするならば、最寄りの図書館において、NDC290〜299あたりをブラウジングすることも「観光」といえそうです。
旅行とは生涯学習です。
最寄りの図書館に行くことが観光というのは、少し面白くないので、ここでは無粋を承知のうえで、
生涯学習の一環としての観光(旅行)
という観点を提案します。
人は、なぜ旅にでるのか(もちろん、出張などを除きます)、自分なりに考えてみると、
人が旅に出るのは、
「ふだんの日常生活では体験することができない文化や風土、芸術作品、自然などに接触し、見聞を広めたり英気を養うこと」
からだと、私は考えます。
文化や芸術は言わずもがなですが、自然を満喫することは環境を知ること=自然観察につながります。
また、外国に旅行をするときは、たとえ付け焼刃でも「コンニチハ」程度の挨拶ができるように努力します(特に「トイレどこですか?」は必須!)
一方、しょうがなしに参加する、職場の「慰安旅行」も、職場コミュニケーションの場、職場学習の場です(広義の“生涯学習”には“職場教育”も含まれます!)
旅行とは、それそのものが「学習」なのです。
「学習」と「旅行」で、連想されるのは「修学旅行」。最近は「大人の修学旅行」も人気のようです。「修学旅行」の真ん中2文字を削除すると「修行」となります。
最近の旅行先は福井!
で、さて、「修行」で思い出したのですが、自分にとって最近の「旅行」は、
・禅修行と大阪同窓会
http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20101123/1290523153
このときは、まぁ、都合のいいことに福井県立図書館を訪問しています。
福井県立図書館で感心したことは多々あったのですが、いずれid:arg氏がレポするだろう、と他力本願でいたら案の定です*1。
・利用者目線に立ったサービス提供−福井県立図書館(Time with books〜本のある時間 2010-12-10)
http://www.timewithbooks.com/monthly_special/06okamoto/vol24/p01/p01.html
私がつくづく感心した
「スリッパの貸出」
にも言及されています。
タクシー利用の効能
さて、福井県立図書館へはバス利用も当然あり*2なのですが、ここでは大枚はたいて(とは、ちとオーバーだが、往復で3千円以上かかった)タクシーを選択。贅沢かと思われるでしょうが、見知らぬ地で、その日その場所の事情を知るには、タクシードライバーに訊くのも一方法です(もっとも、ドライバーさんより当たり外れは激しい>リスク高い)。
あの日乗ったドライバーさんは、この地方らしく真面目で少々無口なきらいはあったが、質問をするとかなり日ごろ勉強されているらしく的確なレスポンスが返ってくる印象。まあまあでした。
ともあれ、目的地である福井県立図書館に到着。
駆け足で、館内を一巡し、
「環日本海コーナー」
という、郷土資料としては実に壮大なコーナーに感銘を受け、帰りはどうしようかと思えば、まだ先ほどのタクシーが玄関前に止まってます。おそらくは、私のことを
「この人は再び乗ってくれるだろう」
と値踏みして待機していたのでしょうか? いずれにしても、乗って帰らないと申し訳ない気がする〜フトコロが痛むか、義侠心が痛むか〜という選択ですが、気弱な私はいつでも“フトコロが痛む”を選択してしまいます。
乗車して、さっそく
「もしかして、自分のこと待っていた?」
軽くツッコミを入れました。
タクシードライバーは
「いやいや、そんなことはありません」
と、否定しましたが、その狼狽ぶりに“ウソ=心遣い”を感じ取りました。
名物が「パン」とな?!
「ところで、お客さん…」
自らフォローするように、ドライバーさんが語ったのは、
「あの図書館ね。パンが美味いんで有名なんだよ?」
「?!」
足羽川の土手を走っているときに、横合いから飛び出たクルマに対する急ブレーキともあいまって、思わずコケそうになりましたよ。マジで。
「運転手さん、それ本当? それともネタ?」
「ウソじゃないよ。運転手仲間では有名だよ。実際に今度あの図書館に行くときは“パンのうまい図書館へ”っていえば、ちゃんと通じるよ。」
う〜ん。ドライバーの人となりや話し方からして本当のことらしい。そういえば11時45分にもかかわらず“あのカフェテリア8割りくらい席が埋まっていて繁盛しているようだったことを思い出しました。納得です。
同時に、思わず
「全艦、180度反転(つまり、Uターン)!」
と言いたくもなりましたが、理性、というより越前そばへの要求で、未練を残しながら福井駅に向かった次第です。
タクシードライバーの支持を集める理由
「Cafily's」というカフェテリアをもつ福井県立図書館。タクシードライバーの休憩スポットとしては、人気が高いそうです。
理由は、パンが安くて美味いだけでなく、
- 緑に包まれ、心が和む
- 駐車スペースがふんだんにある
- 本も読める
といった、ところでしょうか。
元図書館人の一人としては、こちらの方がうれしくなるような回答でした。
ライブラリアンが他の図書館をたずね、その成果を語る意義
今回、驚いたのは、あの福井県立図書館の“売り”が、id:arg氏の語った
“利用者目線に立ったサービス提供(この意見は、私も実感して賛成)”
でもなければ、私が感心した
“環日本海コーナー”
でも、
“覚え違いタイトル集とメガネ女子力”
でもなかったことです。
「盲点」を突かれた感じですね。
とにかく、
「ライブラリアンは他の図書館をたずねたならば、その印象なり感想などを語れ!」
と、まとめます。
道場破りというか、他の館を訪れるライブラリアンは多いと思います。
あまり、熱心でない方でも、通りすがりに「図書館」があれば、思わず覗きたくなるでしょう。
ただし、その感想をブログに書いたりツイートしたりして、情報を共有する、ということまでいくと、残念ながら少数のようです。
もちろん、そこには「遠慮」という美学が働くのでしょうけど、せっかく他館にお邪魔したのなら、その感想を発表した方がいいと…
あ、でもこのネタも「越年ネタ」でしたね。すいません。