地震が生んだ司書の困難と自省

あの地震から2週間が過ぎようとしています。

・savelibrary @ ウィキ - 東日本大地震による図書館の被災情報・救援情報
 http://www45.atwiki.jp/savelibrary/

の活動も進んでいます。
前回のエントリ

・Save librarys ! Save librarians !
 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20110319/1300540923

書いたあとで、「杞憂」が「憂慮」すべきことにかわっていることを知りました。
同時に「savelibrary」では、「図書館復興」のことに傾向して、「司書」そのひとその人を尊重してこなかった(していたつもりであっても不十分・無力だった)自分に不甲斐なさと無力感、現場各位への申し訳ない気持ちがあります。

ホームレス図書館員

前回エントリをお読みいただきました「id:jam-014」さんが、自らの心境を切々とかたっておられます

《ただでさえ「薄給」の彼等彼女等の「明日」が気がかりでなりません》
お心遣い感謝いたします。
何はともあれ東京都内ですし、別に深刻な被災地というわけではありませんが、それでも電力問題の影響で1週間の臨時休館を自治体が断行したあおりで(それはは我々の来月の収入が4分の3に減る可能性が極めて高いということですが)、
すでに来月の家賃が払えそうにないというシビアな問題が同僚の一部に浮上しています。
また開館時間の短縮で、20パーセント近くの減収が長期化する懸念もあります。
《ぜひ自治体は契約どおりの給料・委託料を保障していただければと思います。》
会社からの説明を聞くかぎり、どうやら臨時休館、および開館時間短縮の分、自治体からの委託料が減額される方向のようです。
(これが会社のはったりならば、実に悪質なピンはねですが、実際問題として今の会社にそれだけの余裕?があるとは思えません)

ひととき「ホームレス中学生」という本がベストセラーになって図書館が大量の複本を抱えていたことがありましたが、
ひとつ間違うと、ホームレス図書館スタッフがカウンターに立つ日が来るかもしれません。
先行きの不透明さから陰気なことを書いてしまいました。
あしからず。

ライフライン復興図書館員

東北地方だけでなく、関東でも地震の被害が起きています。
長らく公共図書館のイメージリーダー格というべきT県U市の図書館員「id:nemurigame」さんの苦闘ぶり

・我が家は水が出ました! nemurigameの日記2011-03-18
 http://d.hatena.ne.jp/nemurigame/20110318/1300447535
地震と図書館 nemurigameの日記2011-03-25
 http://d.hatena.ne.jp/nemurigame/20110325/1301053690

などに綴られています。

対象的な二例

二つのエピソードとも、涙もろくなった私は、目頭が熱くなる思いでした。
いま、冷静になるとこのお二方の勤務館は対照的です。nemurigameさんの図書館は、正規司書が「災害動員」で抜けた穴を、非常勤職員が立派に穴を埋めていることです。無論ヘビーなタスクや細かい点では足りない部分もあるでしょうが、「開館」を継続すること自体が重要です。
かたやjim-014さんは
・臨時休館 底抜け図書館大脱走2011-03-15
 http://d.hatena.ne.jp/jam-014/20110315/1300204947
計画停電で、臨時休館が後をたたないようで…

この中で、ご当人の jim-014 さんは、次のようにうったえます。
事務的に貸し出し処理が無理なら、館内閲覧に限ってでも、とにかく開館だけはする、という判断があってもよかったと思う。
また、残念なことだが、こういうときにさっさと閉館してしまう場所が、『地域の情報拠点』にはなれまい。
被害の大きな地域の図書館関係者の困難がネットを通じて伝わってくる。
それぞれができることとして、開館が可能な地域では、開館して欲しいと私も思う。

もっともな話だと思います。が、こういう「有事」の際には、それを口実に
“もっともな話がもっともでなくなる”
という怖さ。それにしても、日本はせまいですが、こと図書館にとっては温度差、というか、あまりにも離れ過ぎている感じがします。

もう一つの懸念「孤軍奮闘」

もうひとつ、私が心配していることがあります。
今日も被災地で、一日でも早い開館を、と奮闘される方たち。
どうぞ、ご自愛ください。
「savelibrary」あるいは「saveMLA」も立ち上がり、議論も開始されました。
目指すは図書館復興になります。
しかし、図書館といえば図書館司書抜きには語れないでしょう。
自分にできることは皆無に等しいですが、困難を抱えている図書館員は多いです。
「とにかく、ご自愛を」
いまは、それしかいえない自分が情けない(泣)