貸出伸ばしゴッコは魔術ではない、タネもシカケも限界(レッドゾーン)もありだよ

我ながら反省

少し前のエントリ

・有能な司書は魔術師。そして、魔法は「人」とともに消えゆく…
 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20110920/1316524789

このエントリは、大間違いだったといまさらながらに反省しております。

有能な司書であれば貸出伸ばしはたやすい…(1)
私(筆者)も、貸出を伸ばしたことがある…(2)
∴ 私は「有能な司書」である

ということになります。いくらなんでも、そこまで自惚れているワケではないし、貸出伸ばしを「自慢」する意志もない、私は貸出に「愚直な司書」であったと自己評価してます。
まぁ、少なくとも「魔術」という非科学的な言葉で言い表したのは失敗でしたね。
その証拠に

  • タネもシカケもあり
  • レッドゾーン・限界もあり

ということです。

“遊び”じゃないのよ、“貸出伸ばし”は…

ただ、自己弁護すれば、私はこの行為をゲーム感覚・遊びでやっていたワケではありません。
私はかつて

・なにも残してはならぬ 〜3月で図書館を去る方々へ
 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20101231/1293751467

にも書きましたが、着任早々に移動図書館をリストラした(された)経験をもっています。利用者に対し申し訳なく、自分の無力感を呪ったあの日あの頃を今でも昨日のように思い起こすことができます。
自らを美化・正当化するつもりはありませんが、あの頃は、確固たる地盤をつくりあげるということで頭の中がいっぱいでした*1

醍醐味は「数字」ではなく「体感」するもの

さて、さきほどの

  • タネもシカケもあり
  • レッドゾーン・限界もあり

と述べました。
前者は、話すと長くなりますので、後回してしまいまして、レッド・ゾーンが出たことで、クルマになぞらえてみましょう。
自転車のようなゆったりした速度でETCを通過。はやる心をおさえ、ランプウェイを30キロ・1200回転でのぼりあげて、加速車線に入ったとたんアクセルを踏み込めば、エンジンが一気に吹きあがり加速!
走行車線に入って若干の速度超過に気が付きアクセルをゆるめるまで、この数秒間はまさしく官能の世界。
これと同じような醍醐味が「貸出伸ばし」
前のエントリで、「貸出伸ばし」のうまみを「官能的」と表現しました。
実は、このあいだ

  • 視覚…前から後ろに景色が流れるスピード感
  • 聴覚…エンジンの吹きあがりと風切り音
  • G感…身体全体がバックレストに押し付けられるような感じ

という体感で味わっているのです。この間、タコメータースピードメーターなんてほとんど見ちゃあいない。
“貸出伸ばし”もこれと同じで“手ごたえ”を感じて実感するものです。この場合“手ごたえ”とは、書架の状況や利用者さんの表情など。貸出統計などの諸元は
「あぁ、やっぱりね…」
数字として裏付ける指標の一つにすぎません。
ところで、いま「官能」と書きましたが、
「官」=公務員

「能」
行為なのかもしれませんが…

だから、レッドゾーンとは

もちろん「加速は」たまさかの戯れでしかありません。
自動車をレッドゾーン近くまで踏み込めば、たちまち交通機動隊の皆様に「赤旗」ふられて「御用」となります。
貸出伸ばしは、さすがに赤キップ切られることはありません。
ただし、さすがに飽きます。これが「限界」といっていいようです。
いわゆるマンネリズムに陥ることですが、「官」はありがたいことに「人事異動」があり、リセットされ、また新しい気分で貸出伸ばしを企画するというワケ。ありがたや…
ここまで書くと、自分のドライブとよく似ていると思います。
あのSAにはスタバあったと立ち寄り、よせばいいのにグランデサイズをオーダーして飲みながら走ると、自然の摂理、当然のなりゆきとして、膀胱がグランデサイズに膨れ上がり、つぎのPAでトイレというわけで、なかなか先に進まない。おぉ、これこそ我が図書館人生!

*1:このような“事情”も汲めないクセに上から目線で「公共図書館無料貸本屋」を非難する方々には、この気持ちわかるはずもないし、またわかってほしいとも思わない