TRCによる“共食い”の理

図書館員とTRCのビミョーな感覚

株式会社図書館流通センター(=TRC)が、1996年から図書館業務受託を開始したことで、図書館職員とTRCの間にはビミョーな距離感が発生しています。
従来あったはずの、客と請負、カスタマーとサプライヤー、主客の単純な構図ではなく、公共図書館員のある者にとっては“嫌悪”あるいは“ライバル視”することになったからです。
社名(略称)が幸いして、「丸善」を「丸悪」とののしる連中はいなかったけど、これらの感情は根強いようです。気持ちはわかりますが、少々整理するのもよいようですね。
まずは「委託」の善し悪しについて。これは、このブログで何度となく主張してきましたが、目録(=MARC)作成なり図書原簿、ブッカー*1装備から背ラベルまでお願い(=委託)しておいて、今更になって、基幹業務とか指定管理者反対に異を唱えるのは少々おかしい*2と思います。

“共食い”の必然性と意義

21世紀を代表する経営者といわれる、スティーブン・ポール・ジョブズ(=Steven Paul Jobs)は次の言葉を残しました。

「自分で自分を食わなければ、誰かに食われるだけだからね」
iPhoneを出せばiPodの売り上げが落ちるかもしれない。iPadを出せばノートブックの売り上げが落ちるかもしれないと思っても、ためらわずに突き進むのだ。

この例にならえば、いずれ図書館業務受託は大いに進む、その中でたとえTRCが参入しなくても他社がいずれ参入するであろうと予測しえたからです(事実、そうなった)。
その“共食い”は、経営面でも活かされました。MARC作成を「データ部」として一元化したのです。結果として実に機動力ある資料組織をTRCは行っています。

「人材」とか「経営」ではない、「組織力」が問題だ!

それと対照的なのが、「日本図書館協会」でしょうか。

  • 目録委員会
  • 件名標目委員会
  • 分類委員会

の「三権(件?)分立」に徹底的にこだわりました。
三委員会とも委員には、日本図書館協会の専門委員会にふさわしい、堂々たる豪華な顔触れをそろえてます。
が、その成果たるや、良い表現では“高度で専門的”、悪い表現では“形而上学的・抽象的”といったように私には見受けられます。
特に「議事録」には、
“ヲタサロン”
のような雰囲気を感じられずにはおれません。
結果として、

・「我国を代表する書誌データの一元化」について
 http://www.jla.or.jp/demand/tabid/78/Default.aspx?itemid=539

上のような「意見」が出てくること自体、日本図書館協会にとっての、事実上の“敗北宣言”であるのですね。
組織の行く末を決定せしめるのは、

  • 人材
  • 権威

ではなく、組織力であるということを、改めて見せつけられた感じがします。

*1:あ、これ商標登録?

*2:ここでは“疑問があり”という意ではなく“超ウケる”の意味で用いてます