「岡崎市立中央図書館事件」から学ぶことがいくらでもある。

Librahack氏にはじまる岡崎市立中央図書館問題は、このブログでも取り上げてきたところですが、ついに岡崎市三菱電機インフォメーションサービス(=MDIS)を見限ったようです。

下種の勘繰り

個人情報を流失された方々にとっては、不謹慎ですし、あくまで自分の「下種の勘繰り」ではありますが…
私が、岡崎市立中央図書館の担当者であれば、表情は沈痛・怒り・悲しみ・遺憾の意を表しつつも、内心は小躍り、心の中ではガッツポーズをしていたことでしょう。
岡崎市立中央図書館としては警察に「被害届」を出してしまった以上、プログラムの不都合を理由にMDISを見限れない、死なばもろとも、一蓮托生の関係であったことは前に述べました。
今回、「個人情報漏えい」が発生したことで、岡崎市は自らを「被害者」とし、かつ、Librahack氏に謝罪することもなく、また「正当な理由」の名目のもとに“縁を切る”ことができるからです。
岡崎市立中央図書館は「Librahack」事件と「個人情報漏えい」は各々別個として取り扱うことで、自らを「被害者」としてふるまえる立場におくようですが、どう考えてもこの二件は連動した動きとしてみるのが正しく、世間一般の視座からみれば、やはり「無責任」のそしりはまぬがれません。少なくとも、信用失墜とか監督不十分のそしりはまぬがれないでしょう。

本当の「被害者」とは…

岡崎市立中央図書館は自らを「被害者」として位置付けしようとする態度については、さきほど批判したところでありますが、ならば「本当の意味での被害者」とは誰でしょうか。

  • Librahack」と個人情報漏えいの該当者は言わずもがなです。
  • 警察・検察はピエロのような役回りを演じました。

が、なんといっても最大の被害者は、岡崎市民わけても図書館利用者です。
岡崎市立中央図書館のシステム更新(NEC→MDIS)には、岡崎市民の税金が使われています。
図書館利用者はといえば、もっとお気の毒です。自分の住まう自治体の図書館でこのようなテイラクでは信頼に値しないと思うでしょう。
この点、自動車はいいのです。三菱自動車を信頼できない方はトヨタやホンダなど他メーカーの車に買い替えればいいのです(もっとも、費用がかかりますが…)。
が、一方、岡崎市民からすれば(広域利用はありますが、基本的に)図書館を選べないからです。

Librahack」氏の名誉回復が無理なら功労者として表彰を

さて、いちばん頭の痛いのは、「Librahack」氏の名誉回復なのです。
岡崎市は「Librahack」と「個人情報漏えい事件」について関連性を否定しますし、誤りを認めれば同氏への補償問題が発生しますから、岡崎市立中央図書館&MDISが謝罪することはこれからもありえません。
むしろ、

  • 図書館の「ヘビーユーザー」であり
  • Web−OPACの不便さについて自分なりに工夫し
  • ブタ箱に入るハメになったが、議論の機会を提供し
  • 個人情報漏えい事件があきらかになるきっかけをつくった

という“功労者”として彼を讃え、表彰するような試みがあってもいいと思います

忘れていた、もうひとつの「被害者群」

賛否両論あるかもしれませんが、MDISの社員も「被害者」なりうるかもしれません。
同社が獲得している、ISMS認証・プライバシーマーク付与認定ははく奪される可能性があり(特に後者は絶望的)、各自治体をはじめとする官公庁の契約における入札除外もありえます。
親会社である三菱電機が自ら謝罪文を出しています

・子会社の個人情報漏洩について(お詫び)
 http://www.mitsubishielectric.co.jp/oshirase/20100928/

親会社の方が、厳しく予想・受け止めているようにも思えます。あの「自動車」事件もありましたしね。
MDISの顧客は官公庁が多く、まさに「御用商人」でありますが、入札資格のはく奪が始まると、経営環境が厳しくなるのは火を見る以上に明らか。おそらく、トカゲのしっぽ切りではありませんが、会社ごとリストラという選択もありえます。
MDISについていえば、非難・疑義があふれてオーバーフロー状態になってますが、悪い社員(おそらく、正社員・幹部)は、ほんの一握り。この連中のために、また早ければ今度の年末年始にも「派遣村」入りする人も出るのでは…