岡崎は遠くなりにけり?

時刻表を手に取ると、近くて遠いような、なんともビミョーな距離感のある街があることに気がつきます。
たとえば、関東地方でいえば、千葉県は「新東京国際空港」とか「東京ディズニーランド」にあるように、ほとんど東京都と一体化しているように見えるのですが、房総半島の先までいくと東京駅から特急でも2時間弱かかります。東海道新幹線なら名古屋あたりまで行っていますね。おそらく。
このように距離感と時間のミスマッチというのは結構多いようです。たとえば、東海道の由緒ある街「岡崎市」。
(私のような関東人からみて)名古屋の手前にありながら、東海道新幹線の駅がない、最寄りの豊橋にはごく一部の「ひかり」が停車するだけですから、東京からの所要時間で比較すると(新)大阪はもとより、ヘタをすると吹田や尼崎駅の方がよほど近いということにもなりかねません。
さて、独立行政法人情報処理推進機構が「2012年版 10大脅威 変化・増大する脅威!」を公開しました。

・「2012年版 10大脅威 変化・増大する脅威!」(独立行政法人情報処理推進機構 2012-3-22)
 http://www.ipa.go.jp/security/vuln/10threats2012.html

ちなみに前年の、「2011年版 10大脅威 進化する攻撃...その対策で十分ですか?」では、“librahack”をとりあげた「セキュリティ対策不備がもたらすトラブル」が第6位にランクインしてましたね。

・「2011年版 10大脅威 進化する攻撃...その対策で十分ですか?」(独立行政法人情報処理推進機構
 http://www.ipa.go.jp/security/vuln/10threats2011.html

ここでは、岡崎事件について名指しはしませんでしたが、

 2010年、ウェブサイトのセキュリティ実装不備に起因した問題が発生し、問題発覚時の対応の不手際もあり、社会的な問題にまで発展しました。設計・開発時のセキュリティ対策に加え、運用時の対策・対応も重要です。

とまで記述されてました。
この事件を、当時識者(執筆者)がいかに重要視していたのかがわかります。
2012年版では「セキュリティ対策不備がもたらすトラブル」の記述はなくなりました。2011で突然あらわれ、瞬間風速的にふってわいたように現れ、消えていいたような印象があります。
記述は消えたが、問題もまた解消されたのか、といえば、とてもそうは思えません。
システムの発注や運用、クライアントとベンダーの関係、それらにその教訓が活かされているとは思えません。

・日本の図書館システムが今後取り組むべき6つの課題(文献紹介)(カレントアウェアネス・ポータル2012-3-22)
 http://current.ndl.go.jp/node/20435

課題が提起されること自体はよろこばしいことです。ただし、図書館関係者の何%の者が、問題を重視し解決に向かって歩もうとするか、といえばかなり危ういかな、危ういかな。
なんせ、日本図書館協会自体が調査を「委託」した時点で
「当事者意識のなさ」
が可視化されようというものです。