収蔵スペースが寄り切った「貸出し偏重」
今日は「出納閉鎖」
本日、5月31日は、地方公共団体にとって「出納閉鎖」の日です(地方自治法235条の5)。
ご周知のとおり、「出納閉鎖」とは、当該年度の現金の移動を一切締め切り、決算に備えることをいい、4月1日から5月31日までを出納整理期間、その終期である5月31日を出納閉鎖期日といいます。いわゆる「締め」の日ですね。
当然のことですが、この期間、特に血眼になるのが収税・納税の人たち「徴税吏員」です。目的は「税金の滞納整理」。目的は大まかにいえば二つ。
- 収納(金)の確保
- 公平の確保(踏み倒しが横行すれば、「正直者がバカをみる」から)
そこで、担当者(課)は、文字通り“夜討ち朝駆け”で奔走するのです。
私の体験
さて、前々回のエントリでは、「AKB48のCD大量廃棄」についてコメントをいたしました。本エントリ中、ついAKBを話題に出してしまったことは不徳のいたすことでもありますが、同時に私自身の「トラウマ」でもあり「痛恨事」でもあった体験を思い起こすことになりました。
元勤務館の地下には、一群の図書資料が「安置」されています。見れば同じ本ばかりが複数。しかも、1〜2年前に一世を風靡した“元ベストセラー”ばかりです。
これにはトーゼンのことながらワケがあります。ベストセラーに予約が集まった結果、複本を購入して対応します。が、ブームが過ぎ去って予約が捌けてしまうと、書架に同じ資料がズラリと並ぶ。これでは体裁が悪いから書架から外す。書架からは外したものの、「除籍の対象」にするには、あまりにも新しすぎるから、「除籍」することもできない。そのような事情から、拘置所に収監された死刑囚のごとく、その場で「除籍」を待つことになります(OPACで検索の対象になると困るから「修理中」とかのフラグをたてておく)。
そのため、その一角はさながら“本の墓場”のような空気が漂っていてじつに不快な場所であったように思えます。
図書館スペースが生んだ「ベストセラー偏向」「モラルハザード」
この場所からそのような印象なり問題意識をもったのは、知る限り私ぐらいだったようです。多くのセンパイ方は、
「(多数の貸出しがあったので)もう、元はとれている」
とか、
「出しても、みっともないし邪魔だしね」
とコメントしてました。
どこの図書館も事情は同じですが、収納スペースが狭く、新刊を受け入れるとオーバーフロー状態になります。
こうなると、図書館は「資料の保存」という基本的機能を事実上放棄してしまう(せざるをえない)状態が恒常化して、
- 短いサイクルで本を除籍してしまうのであれば、売れ線(ベストセラー)ねらい
という発想が出るし、ヒドくなると
「いずれは捨てるから」
という発想から
- 督促なんて面倒なだけだ
- 紛失があっても平気
- 補修すべき本は捨てろ
などといったレベルまでエスカレートするのを私は見ました。もちろん、そんな館は“ありえない”と思いたいのですが、実際に見て・聞いて体験したことです。
図書館員は「徴税吏員」でご奉公?
ところで、最近現役図書館員のあいだでは「資料費削減」のタメイキばかりのようです。
しかし、複本を買うのに、図書館員は
「ほんの1,500円」
とか云ったりしますが、その1,500円を市民から税金として納めてもらうために徴税吏員はどれだけ苦労しているのでしょうか?
実は、私も体験ありです。それはそれは大変な作業です。
「税金ドロボー!」
よばわりする方は“敵愾心”をもつだけだから、よいとして、リストラされ、それでも前年度現役バリバリで働いていたためにそれなりの住民税が課税されている方の言い訳を聞くのはじつにつらい作業でした。
前に、週刊新潮で佐藤優センセイが「図書館員は書店でご奉公」と書いてましたが、特別背任罪の佐藤氏も含め
「図書館員は徴税吏員でご奉公」
というのも悪くはなさそうです。