小さなつづらを持ったおじいさんによる、督促業務に従事する図書館員のための住民票請求講座

むかし、ある国語辞典(どこのものかは忘れた)に、「初老」は“40歳以上”という解説があったような気がします。自分も、40過ぎて“若さゆえのあやまち”ではなく“耄碌”という言葉がしっくりくるようになったと自覚しています。
さて、それにしても昨日のエントリはヒドかったと思います。耄碌に妄想が加わると、手がつけられない「暴走」になりまして…

で、さて、昨日は、“住民基本台帳法に基づく住民票の交付”にあやまった解釈・運用のある記事について、反論の投稿をいたしました。日々督促業務に頭を悩ませている方は、興味がおありでしょう。
が、投稿した手前、まったく同じ内容をここで書いても仕方ないし、また、基本的に「反論」をこのブログでするのは、あまりに後ろ向きですから、ここは前向きに、

督促業務に従事する図書館員のための住民票請求講座

を開講します。
 住基法では“国又は地方公共団体の機関による住民票の写し等の交付請求(以下、「公用請求」という)”の取り扱いについて、“明らかにしなければならない事項を次のとおり定めております。(住基法第12条の二第二項)
一  当該請求をする国又は地方公共団体の機関の名称
二  現に請求の任に当たつている者の職名及び氏名
三  当該請求の対象とする者の氏名及び住所
四  請求事由(当該請求が犯罪捜査に関するものその他特別の事情により請求事由を明らかにすることが事務の性質上困難であるものにあつては、法令で定める事務の遂行のために必要である旨及びその根拠となる法令の名称)
五  前各号に掲げるもののほか、総務省令で定める事項
 総務省での見解は、請求の際には「公文書」により請求することになっているようですので*1、請求は文書をもって行うことが望ましいとされます。
請求文書は“××立図書館長”名がよいでしょう。公印も押しますが、同一自治体であれば、館長さんの個人印でもよいと思います。
請求の題は

図書館延滞者の督促事務にかかる住民票の請求について(依頼)

と、いかにもそれっぽく題しておき、本文は
このことについて、下記のとおり請求いたします。
として、

1.請求しようとする対象者の住所氏名
2.請求理由
 図書館の貸出において、規則に定める貸出期限を経過してもなお、返却に応じず、郵便による督促連絡が不可能であり、連絡先を把握する必要があるため
3.担当者の職氏名

おおむね、上記のような内容が書いてあればOKです。
簡単でしょう?
以上、小さなつづら(キャリア)をもったおじいさんによる解説でした〜


って書きましたが、役所の中には必ずしも善男善女の集まりではありません。
大きなつづら(キャリア)をもったババアおばあさんもいて、なにかと難癖つけたがります。
総務省は、

当該請求が職務上の請求であることに疑義を生じしめる等特段の事情があるときは、請求者に対し、口頭で質問し、関係文書の掲示を求める等適宜の方法により確認するのが適当である

としていますから*2、念のため、関係性・必要性の疎明資料も準備した方が賢明です*3
関係性・必要性を示すには、「宛先不明」で郵便局から返却された督促ハガキの類の実物あるいはコピーが望ましいでしょう。
また、延滞リストや延滞表示の利用者画面のハードコピーでもいいのですが、この場合には資料名を墨塗りするような工夫を行ってください(交付する側にとっては、延滞の事実が必要なのであり、“なにを借りたか”は不要な情報ですし、図書館側も利用者のプライバシーを保持する立場から)。
それでは、快適な督促業務を! 

*1:住民基本台帳法等の改正に関する質疑応答集について”より

*2:

*3:特に図書館司書を前職とする人はジェラシーとルサンチマンの融合体ですから、注意が必要です