美術館・学芸員の苦悩を垣間見て同情と羨望〜上野のフェルメール、再び〜

武雄戦線異常にやる気なし!

前回エントリ #takeolibrary ネタについて、あまりにもブックマークが伸びていないので、驚きました。
読み返してみると、たしかに小役人根性が目について、
「自分でも面白くない」
エントリでした。ただし、公平な行政実現の観点からの主張がスルーされてしまったから、
「ますます面白くない」
と、いうことで武雄については、しばらくスルーします。

185系特急で

と、いうわけでもないけど気晴らしに前回同様、上野まで行ってきました。
マニア的な話題で恐縮ですが、今回は湘南色の特急。

個人的にはこの2連窓↓

かつての165/169系サロ(グリーン車)を彷彿とさせますが、
そのグリーン車といえば、

80系を思わせるできばえです。
いずれにしても、車体側面で窓の比率が低く、暗くて窮屈な出来映えで、
特に

急行色と「特急表示」は似合わないですね。

さて、上野駅



前回と同じ光景ですが、本日の目的はフェルメールの「耳飾り」ではなく「首飾り」
・ベルリン国立美術館
 http://www.berlin2012.jp/tokyo/
であったはずなのですが、

国立西洋美術館は特急のごとき勢いで
通過!
(ちなみに、この写真はあとで撮ったものです。行動とカメラがめちゃくちゃだ)
結局、またしても

東京都美術館に来てしまいました。
前回観た展示ですから、お気に入りだけを拾い見て、あとは16倍速(これはオーバーか?)で「耳飾り」の前へ。
観賞の行列に並びましたが、前回とちがい、行列の消化ペースが早い…
待ち時間が少ないのはありがたいけど、少しイヤな予感…
そして、
イヤな予感は的中です。
作品の両脇にはスタッフが立っていて、
「立ち止まらないでください」
「歩きながら、ご鑑賞ください」
を連呼しておりまして、前回のように(前回もあまりゆっくりはできなかったけど)味わう余裕も気分もありませんでした。
ガッカリです。

美術館学芸員への同情と羨望

しかし、絶対的な観客数が多いのですから「ゆったり観賞」にも限界はあるでしょう。その相反する要素でいかに妥協するか、ということで美術館学芸員の苦悩が想像されました。
たしかに急かされた側の人間としては面白くないですが、急かしているスタッフにしても内心では、せっかくの展示
「ゆっくりご鑑賞いただきたいのに…」
という気持ちはあるに決まっています。
このあたり、
「資料提供」
という「図書館司書」は気楽でいいや、と思う反面、同情とともに羨望のようなもの〜
「やりがいあって、がんばっているな」
と、いう感情がわきおこってきました。
とにかく、
「がんばれ、学芸員!」
と、心中でエールを送り、次の目的地「首飾り」へと向かいました

武雄市立図書館のTポイント付与はやはり問題である〜税収からTポイントへのすりかえ〜

Tポイント付与を考えてみる

Tポイントツールバースターバックス参入でいろいろ話題の武雄市立図書館。
当ブログにおいても、いろいろネタにさせていただきましたが、今回はいよいよ核心である
「Tポイントの付与」
に、ついて考えてみましょう。
これまでは「個人情報保護」の見地からの議論は多かったようですが、ポイント付与の是非については、あまり議論の対象にはなりませんでした。ただし、逆転して考えてみれば、T−カード会員とかTツールバーとは、ポイント付与を前提にしたうえでの議論なのですよね。

そもそもTポイントとは…

そもそも、「Tポイント」に代表されるポイントシステムは、とある商取引上での「消費者還元」のシステム。ただし、図書館の貸出は「商取引」とは違う、このあたりを押さえておく必要があります。
次に、Tポイント付与はCCC独自の判断・施策ではありません。
Tポイント付与は、提携当初の「9の市民価値」の一として、武雄市長との「合意事項」であると同時に、同市長の敷衍するところであるから、武雄市行政の一環であると解されます(まぁ、早い話が「コラボ」なんだよなぁ)。

市長ご発言「販売促進のようなもの」

さて、施策する市長さんの発言を

・「図書館で本を借りたらTポイント」TSUTAYAが公立図書館運営へ――Facebook市長「本の貸出履歴は個人情報ではない」(ガジェット通信)
 http://getnews.jp/archives/204806

には、以下のやりとりがあったようです。

記者:公立の図書館で本を借りたら換金性のあるポイントがつくというのは問題はないのか。
市長:前代未聞だと思います。が、1冊の本を借りたら100ポイントだったらまずいかもしれないが1ポイントならいいのでは。民間でいう販促費のようなものだと考えている。
記者:図書館法では無料で貸し出すことになっている。無料といえば無料だが、そこにポイントが付与されるということに問題はないのか。
市長:それは図書館法の枠内だと考えている。図書館で本を貸すのにお金を取ってはいけないが、渡すというのであれば問題ないし、そもそもポイントなのでお金ではない。図書館を利用しようという動機づけになればいい。

「販促費のようなもの」という表現を使っているので、「図書館利用=販売」と見立てているかのようです。
いかがなものでしょうか?

似て非なる経験

まぁ、このような「釣り」のような集客には私も実見したことがあります。
かつて、私は地域文庫に従事した際、地区の方々が、地域文庫の子ども利用が少ないことを嘆き、似たようなコトやっているのを見ました。利用カードとは別にスタンプカードをつくり、貸出し1冊につき1個、貸出した日の翌日から貸出期限日の間に返却するとスタンプ2個を押してもらい、一定数に達すると納涼祭・文化祭等の地区のお祭りの模擬店で「ヤキソバ」「綿菓子」などの「商品」と引き換えることができるものです。地域文庫も納涼祭も子どもが集まり喜ばれるということで、図書館員としては正直苦々しい思いもトーゼンありましたけど、その仕組みそのもので結果的に子どもの読書普及・社会参画につながれば、それはそれでいいじゃないか、と思っていたものです。

「販促のようなもの」から特定事業者への「販促そのもの」へ

図書館利用者に特典を付与する=オマケ=読書普及、という考えそのものは、少々筋違いの観もありますが、まだ許容範囲内です。
しかし、「特典」の中身が「Tポイント」であるとすれば問題アリアリです。
私は「Tポイント」は“企業内通貨”であって、当該事業者及び提携関係のある事業者にのみ流通するポイントであることを問題視します。付与が地域内通貨とか、公営施設の割引券とかであれば、「地域振興」「町おこし」の観点でかろうじて容認できるでしょう。また、来館困難な高齢者に交通系をチャージしたり、タクシー券相当を差し上げるのもいいかもしれません。
ただし、「Tポイント」は“企業内通貨”であって、当該事業者及び提携関係のある事業者にのみ流通するポイントであることが問題ですね。併設されるスタバ等はともかく、図書館本体そのものが「無料」であり*1ますから、貯めたポイントを使う場といえば、Tカード加盟店・業者くらいしかないですね。市長サンのおっしゃる
「販促のようなもの」
とは、ズバリ
「特定業者(Tポイント加盟・提携業者)への販促そのもの」
になってしまいます。

税金がTポイントに変わる瞬間

で、そのTポイントですが、先述のガジェット通信では、

記者:実際のお金の流れは?
市長:図書館の維持の部分に関しては運用費をCCCに渡す。雑誌文具販売に関しては図書館法の枠外のスペースを設けてそこでおこなう。賃料はCCCに払ってもらいつつそこで販売してもらう。

ようです。
良くも悪くも、公立図書館は「貸出し」が主要サービスです。
ここでは、

図書館の維持の部分に関しては運用費をCCCに渡す

と明確におっしゃっているようです。
ということは、「ポイント付与」の元手もCCCに渡すということでしょう。お金=税金で。
それでも、当の市長さんは
「経費を節減したうえ、付加価値(Tポイントの付与)までつけた」
だから、文句言うんじゃねぇ!
くらいの発言も想定できます。
ただし、市民の税金はTポイントに変わっていくのです。
これって、行政の「公平・平等の原則」にそっているかといえば、どう見てもそうはいえないですね。

*1:無論、図書館資料複写実費徴収金などで“お金をお支払いいただく”場面はあります。が、収入は、現金によるほか、証券または口座振替の方法により収納することが原則(地方自治法第231条、地方自治法施行令155,156条等)

“Tポイント・ツールバー”からCCCの素顔がスパムできる?

どうでもいい扱いの「重要なおしらせ」

前回エントリ終了後、TポイントツールバーについてCCCが“重要なおしらせ”を発表しました。

・Tポイントツールバーに関する重要なお知らせ
 http://tsite.jp/cp/index.pl?xpg=PCIC0102&cp_id=5387&CP_SYUBETU=1

この文章、事実上のサービス撤回といってもいいような内容ですが、そのいいワケが小学生の宿題忘れました的幼稚さに満ち満ちているのが笑えます。
冒頭の部分、

本サービスにおいては、随時改善を行っておりますが、
皆様によりよいサービスをご提供するために新規のダウンロードを一旦停止させていただいております。

って書いてあるけど、そもそも「改善」しようとしても、所詮ポンコツは、ポンコツ。ペテンはペテン。それを「随時改善」とは、先の大戦末期に徹底抗戦にこだわった軍人たちにも似ていますね。
往生際の悪さだけに目が行きますが、そもそもこの“ありえないツール”を“かつての東証上場企業”が商品化したこと自体が恐怖です。社内における商品テストや検証をきちんとやっていたのか、考えただけでバカげていますね。ドラッカーにいわせりゃ“マネジメントなっとらん!”と一喝されても仕方がないのです。

現代の「大本営発表

それ以上、問題なのはこのニュース、自らは「重要なお知らせ」といってますが、同社の

ニュースリリース
 http://www.ccc.jp/company/news/2012/

には掲載されていないですね。それどころか、そもそもサービス開始の記事も削除されています。
当該「重要なお知らせ」はCCCにしてみれば“黙殺したい”気持ちはわかります。
そういえば、過去のニュースリリースを遡って拝見してみると、
「サービスの開始」
「サービス拡充」
の文字が踊ります。「白星」だらけ、いやいやお見事…
が、Wikiなど他のソースと対照させてみれば、どうみても同じくらいの「黒星」があることがわかります。
自分にとって都合のいいニュースだけ並べ、ますます大本営発表みたくみえてきました。
前回のエントリで同社の説明責任の不足ぶりを指摘しました。
「説明責任」に疑いが出たことは、社会的責任(=CSR: Corporate Social Responsibility)にも黄信号ですね。

企業倫理をステークホルダーごと捨てる〜CCCの“仁義なき商売”〜

前回に続いて、CCCについてです。
Tポイントカードが「限りなく不正指令電磁的記録に該当する可能性が高い」に相当するという見解が述べられました。

・Tポイントツールバーが立派なマルウェアである件
 http://d.hatena.ne.jp/Tariki/20120813/p1

周知のとおり、“貸出しバカ一代”を自称する“バカ”ですから、一読しましたがコメントできるようなアタマもっていないので、ここはノーコメントにさせてもらいましょう。

株主に優しい?

ただし、バカはバカなりに悩みはつきません。

・真相が知りたい「TSUTAYA運営のCCC、MBOで非上場化へ」
http://www.xhotzone.net/vh/y11/vh11020703.php

を読んで、ますますナゾは深まるばかり、アタマ冷やしても無理かもしれません。
この中で、前回以上にナゾが深まるのは、同社のステークホルダー、わけても顧客と株主について、上記記事を読んで思いつくままに…
文中、

こうした環境下で、競争優位を維持しながら、企業価値を向上させるためには、「さらなる経営資源の集中と選択が必要」とし、具体的には、 TSUTAYA FC事業のビジネスモデル転換、TSUTAYA直営店の収益強化、Tポイントなどアライアンスコンサルティング事業の成長、配信サービスなどインターネット関連業界の企画開発や店舗価値向上、既存店モデルチェンジなど、「業態転換を含む事業再構築が必要不可欠」とする。
その場合、短期的に売り上げ規模の縮小や利益水準低下、キャッシュフローの悪化などが予想され、株主等への悪影響が見込まれる。加えて、 IR活動の中で、経営戦略などの企業情報を提供することで、新規事業に関するコア戦略が他社に模倣されやすくなり、「結果収益の機会損失につながり、株主や加盟店、従業員などを含むステークホルダの中長期的な価値を棄損する可能性も否定できない」と説明。

と、ありますね。
かつて、国民的電力会社の株で大損し、国民的航空会社のあおりで株価が下落したT電鉄株で資産の目減りを体験した私にとっては、
「そこまでお気遣いいただいて…」
う〜ん、涙が出ます。
が、それとはウラハラに

今回のMBOについては、2つ指摘すべき点がある。1つはTOB価格。今回の600円は、決議直前となる2011年02月02日終値に32.7%のプレミアムを乗せた水準。トムソン・ロイターの集計によると、2010年1年間に発表となった33社のMBOのプレミアム平均値は52%。32%は、必ずしも十分なプレミアムが乗っているとは言い切れない。

とは、少々セコい価格設定ですね。

おかしな説明

そういえば、

2011年02月03日会見した増田社長は非上場化を目指す理由について、株主、社員、取引先、顧客の4者と関係を持ちながら経営するなかで、上場していると株主向けの対応に傾斜してしまうと指摘。顧客をめぐる環境が変化するなかで「もっと顧客に向き合わなければいけないと感じた」と述べた。

なんといっても、TOBですからトップの意思決定に難癖つけるつもりはありませんが、これは奇怪。社長さんの見方には、正直50歳がらみの初老男はついていけません。
健全な企業と経営者であれば、

  • 社員が持株制度を利用して自らの資産を形成し、かつその資産価値を高めるよう精勤・愛社の精神が育まれること
  • かつての「株の持ち合い」ではないが、友好的な資本関係は取引における信頼関係を生み
  • マトモな会社であれば、ユーザーなりカスタマーが「株主」になってもらうことで、いっそうのご愛顧いただく

ようなことを望むはずです。

ステークホルダー切り?

まぁ、ステークホルダーについて、このような扱いに出た背景には

IR活動による事業戦略公開が他社に模倣されるなどの問題、当面大規模な資金調達の予定がなく、ブランド力や信用力も備えており、上場を維持するメリットが少ないこと、などを挙げている。

ということもあるでしょう。
ただし、MOBに向かう説明や事情・背景とするには、納得しかねます。
ここでおぼろげに見えてくるのが、同社の説明責任の不足ぶり。
企業の社会的責任(=CSR: Corporate Social Responsibility)には、「説明責任」が当然含まれます。
その相手といえば、トーゼン「ステークホルダー」。
つまり「ステークホルダー」を削減することで「説明責任」ひいては「CSR」をも削減したいのでしょうか、私にはそうとしか思えません。

スタバが示す結束は低い、「Tカード同盟」?

で、さて「Tカード」のことですが

しかし、主力事業の「CD・DVDレンタル市場」は成熟期を迎え、他社との競争も激化。さらにインターネットコンテンツ配信の加速も見込まれるほか、国内人口の減少など、経営環境は厳しくなっていると分析する。
こうした環境下で、競争優位を維持しながら、企業価値を向上させるためには、「さらなる経営資源の集中と選択が必要」とし、具体的には、 TSUTAYA FC事業のビジネスモデル転換、TSUTAYA直営店の収益強化、Tポイントなどアライアンスコンサルティング事業の成長、配信サービスなどインターネット関連業界の企画開発や店舗価値向上、既存店モデルチェンジなど、「業態転換を含む事業再構築が必要不可欠」とする。

という同社であるが、その「選択と集中」はうまくいっているのか、という疑問が個人的にはでてきます。
少なくとも“ハンザ同盟”ならぬ“Tカード同盟”は、うまくいっていない、スッキリしていない。その証拠が

武雄市立図書館への「スターバックス」出店が決定
 http://www.ccc.co.jp/company/news/2012/20120814_003421.html

たしかに代官山蔦谷書店を移植する、という基本方針に忠実であることはまちがいないようです。
ただし、同社が真にTポイントの普及と加盟社との関係を重視するなら、スターバックスではなく、ドトールエクセシオールカフェを選ぶでしょう。
CCCにとっては、スターバックスの方がブランド・イメージ等で選びたくなる理由はわかりますが、正規「Tポイント加盟」たるドトールを捨て、スタバを選ぶのは、働き者で庶民的な古女房を捨て、新築したマンションに外から愛人向かい入れるようなもの。まぁ、正直「倫理的」とか「まっとうな商売道」とは無縁な運営です。
スタバにとっては、話題づくりでメリットあることは事実でしょうけど、反面CCCの“なりふりかまわない”“仁義なき”商法が見えてきましたね。まるで「Tツールバー」みたいです。
でも、因果応報。そのうち加盟も減って信頼されない事業者として「評価」されるのがオチでしょう。

私の「選択と集中」にTカードないのよね…

うん、私「Tカード」所有しているのに、使わない(持ち歩いてない)のです。
理由はといえば、ぶっちゃけ
魅力がないから
ふだん用いているのは、

  • Edy機能付ANAカード
  • nanaco
  • Suica

の3種類です。これが私の“選択と集中”。私は自宅・職場ともに最寄コンビニがセブンイレブンですからnanacoですけど、ミニストップイオンモールの愛好者の友人はWaonを所持しています。
nanaco,waonがよいのは特典がたまりやすいから。コピー機でも使えるし便利でお徳感あり。Edyマイラー必須。
この中でSuica(無記名)だけが、ポイントはつかないけど愛用してます。なぜかといえば便利だから。小銭いらず、チケットレス、タッチ・アンド・ゴーがこんなに便利(コンビニエンス)だとは!
逆にいえば、Tカードは正直魅力に欠けますね。ポイント付与も少ないし、やはり“便利=コンビニエンス”が一番。“カルチュア・コンビニエンス・クラブ”も、その中の“コンビニエンス”を追求しないとマズいですね。だからといってツールバーは困る。
と、いうことでますますSuicaペンギンが相対的に偉く見えてきました。
だって…
SuicaならばSuicaならばモンダイない!

武雄市立図書館とツールバーの「野望」

Tポイントツールバー

私は「Book−Off」のTカードを所持しています。
が、最近ではあまり使用していません。カードに「BOOK OFF」のロゴがはいっているからではなく、あまり所持している魅力がないからといえます。
さて、巷ではTツールバーについて話題になっていましたね。

・Tポイントツールバーの検証〜togetterまとめ
 http://togetter.com/li/352977

まぁ、わずかなTポイントと引き換えに、スパイウエアを入れるようなものです。こんなもの誰が使うのか、理解に苦しみます。
で、このような商法をはじめたということで、CCCと武雄市立図書館との関係を見直す必要がでてきました。
前々回エントリで紹介した

・そろそろ民間は図書館にはそぐわない,って単純にいうのはやめようぜ
 http://d.hatena.ne.jp/yuki_0/20120723/1343003611

このエントリでid:yuki_0氏は、次のように述べてます。

指定管理会社は,素敵な「ショールーム」をつくるために,コスト度外視でそれを作りに来るという点については,過不足なく押さえておく必要があるでしょう(武雄もそうなるんじゃないかなー.だから武雄はある意味ではハッピーかもしれない).で,後発の連中は,だからあそこの「会社」だからうまい図書館作ってくれるだろ,みたいな期待は,多分持たない方がいい.

私は、氏の意見には賛成だった、というよりも同じ見方をしてきたわけですが(自分でも過去エントリでも書いてます。ただし、氏の記述のほうが簡潔でよくできているので拝借したまで)、このような商法をするからには、少し疑問符をつける必要が出てきました。

なぜ、非上場なのか

今日、その輝きはあせたものの「東証一部上場」とは、事業者としてメジャーリーグ入りを果たしたにも等しい。今でも「東証一部上場企業の社員」といえば箔がつく。それを自ら取り下げるのはおかしい、少なくとも知名度ダウンはまぬがれないところです。ところが、CCCはMBO(マネジメント・バイ・アウト)の手法を用いて、自ら東証一部上場をとりさげています。
不祥事はともかく、自ら上場を取り下げるには、特に敵対的買収の脅威から逃れることがまず挙げられましょう。ただし、CCCにはそれをする理由はありません。
CCC自身は、ニュースルルースで、

MBO の実施及び当社株式等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
 (2010-02-03)
 http://www.ccc.co.jp/fileupload/pdf/news/MBO_final.pdf

次のように説明しています。

また、当社は、上場会社の責務として、市場との対話を充実させるための積極的かつ詳細なIR 活動を実施して参りましたが、増田宗昭氏は、「世界一の企画会社」を目指している当社にとっては、IR 活動の中で、企画会社としての当社の経営戦略等の企業情報を提供すればするほど、新規事業に関する当社のコア戦略が競合他社に模倣され易くなる結果、収益の機会損失に繋り、ひいては株主その他加盟店及び従業員を含む各ステークホルダーの中長期的な価値を毀損する可能性も否定できないという、企画会社が上場しているが故の問題も抱えていると考えております。

不祥事でも敵対買収の脅威もない以上、上場廃止を目的するメリットとしては次のようなものしか考えられません。

  • 株主の意向(配当率、定款の変更、役員人事など)に左右されない即断即決型の経営
  • 情報開示が年一度の有価証券報告書の提出と、半期報告書の提出で済む
  • 上場企業に比べて各種監査も簡略化できる

などです。
今回、IR活動を邪魔だと公言したことで、「株主」に対する「説明責任」を含め、CCCとしては秘匿性とか機密性を重視し、会社そのものを「クラウド」にしてしまうような印象。

それでもやはり「武雄」は必要

まぁ、こうしてみると逆にCCCにとっては「武雄」は、ぜひ仕事をとりたいところです。
東証上場から消えたということは、官公需契約上の優位は同業他社より下がります。
東証上場は、まがりまりにもコンプライアンスとかIRとかで企業の公正・透明性を求めていますから「信用」があるのです。CCCはその逆をいってます。それが故に「武雄」はぜひ我がものにして「官庁実績」をつくりたいと思うのではないでしょうか?

私の経験した図書「官」

注:初歩的なミス記載のため、補記しました2012-8-13

関越タントの驚愕

先日、関越道を時速100キロで巡航していると、バックミラーに軽自動車が猛然と現れ、追い越し車線に車線変更して、瞬く間に抜き去っていきました。
察するに、160キロは出していたと思います。軽自動車の制限速度は80ですから、2倍近く出ているワケ。
道路交通法違反を指摘することは正しい、ただし、現行の軽自動車が160キロ出せるにもかかわらず、なぜ制限速度80でなければならないか、という疑問が出なければウソ。現行の制限速度が設定されていた頃の軽自動車はそれなりの性能だったと思いますが、現在の軽自動車は走行・安全性能が向上しています。昭和のそこらの普通車よりも優れたパフォーマンスを持っているであろうことは察しはつきますが、そうしたイノベーションをそっちのけ、というには「官」の「官」たる所以。

特急ヒタチの憂鬱

さて、ハナシかわって…
乗り物ネタばかりで、恐縮ですが、先日尾久界隈で休車(?)状態の651系を見かけました。
wikipediaJR東日本651系電車
 http://ja.wikipedia.org/wiki/651%E7%B3%BB
国鉄がJRにかわってからほどなく導入された車です。
この列車は昭和43年以降続いてきた「在来線最高速度120キロ」を打ち破って130キロ運転を開始した車両です。
つまり、「官」たる国鉄が二十年間乗り越えようとしなかった「壁」を「民」たるJRが、さっそくにあっさりと超えてしまったワケですね。「官」と「民」の差がよくわかります(もっとも同じJRでも西日本はやりすぎ、節操なさすぎですが…)。
スタイルは自分は旧成田エクスプレス253系の方が好きでしたけど、銀河鉄道物語に紛れ込んでも不思議ではない未来的なデザインです。
さて、この電車。私が日ごろアシにしている185系(なんせ最高速度110キロで、湘南新宿ライン快速に追い抜かれる始末だ)よりも新しく、高性能。上野駅で両者が顔を合わせると
「これで同じ(B)特急料金か!」
と思ってしまいました。
にもかかわらず、先に現役を退いてしまいました。
私は、651系のように高性能を自負するつもりはありませんが、それでも低スペックの先輩(185系)よりも先に引退しなければならない無念。う〜ん、人事とは思えません。

館長ヒナンの消失

私としては、先輩を非難(できるなら)したい反面、かたや後輩から非難される
私の思うところ、正規司書のダメダメがバレバレになりはじめたのは、図書館長の司書資格要件の撤廃、すなわち図書館法第13条第3項の削除(1999年)のあたりからだと思います。
図書館長が必ずしも司書職である必要がなくなったことで、二つの現象が生じてきました。
ひとつには、「頂点」たる「館長」のイスを巡っての司書同士の競争・切磋琢磨・鍔迫り合いが息をひそめたということ。これは長所短所両面がありますが、モチベーションの低下をもたらしたことは否定できません。
次に、規制撤廃により「館長」のイスに落下傘的に行政職が座ることが多くなりました。この動きには、当初は抵抗感があったものの、次第に受け入れられるようになりますし、また、この動きに対抗して
「どうしても館長になろう!」
と、ハッスルする司書も少なかった感じです(それが証拠に「館長を司書の手に取り戻そう」なんて誰もいってないじゃありませんか)。
理由は、そのほうが“都合がいい”からです。落下傘的にポストにつく行政職管理職は、程度の差こそあれ、それなりの見識ある方々(そうでなければ管理職に登用されるはずもない)であったから、

  • 現場を重視し
  • 専門家(司書)の意見を尊重する

傾向にありました。そういう方々であれば、むしろ丸め込んでしまえば都合がいい。議会対応、職員配置、条例改正、予算要求など面倒くさいことをやらずにすむし、自分たちの意見は尊重されるから、実に都合がいいわけですね。

SOS団?

時あたかも、この頃から急速に「非正規職員」が増えてきます。つまり「ヒラ」の下ができたようなもので、実際には「ヒラ格」の司書が実質的に管理職のようなたちぶるまいをするようになります。
もちろん、管理職手当は出ないけど、責任もないし懇親会で“管理職サーチャージ”を払わずにも済みます。
このような中でも「年功序列」はいまだ、尊重されてたりもするので、「牢名主」「ボス猿」のようなベテランがでてきます。まさに「最強」「最凶」といってもいいでしょう。
私は彼ら彼女らをして
規職員司書だけでいに盛り上げるための輩司書の
そう、SOS団ですね。
私の先輩でも“空気が読めない”ことを理論化して非正規を年度途中でクビにせしめた豪傑がいます。

俺様ヒナンの驚愕

いろいろ、書いてきましたけど今頃になってやっと気がついたことがあります。
私は“身を退く”なんて格好のいいこといって、実はそのやうな「魔界」からフツーの行政職へと「ヒナン(避難)」しただけのことですね。
こう書くと、いろいろ「ヒナン(非難)」のコメントが飛んできそうです。
防衛策として、一応、最後に書いておきましょう。
ただの批判には興味ありません。この(司書のみなさま方)中に人格者、宇宙人、サエてる管理職がいたら、あたしのところに来なさい。以上。

ここに書いたことはすべてフィクションであり、実存する地方自治体・市立図書館とか関係がないということにしておいてください

補記

コメントにもありますように、軽自動車の速度制限は2000年に普通自動車と同じになりました。
ちなみに、私、こう見えても実はゴールド免許です。
軽自動車を持たないからとか、ゴールドだと更新時講習が、時間も機会も少ないとかイロイロ理由はあるでしょうけど、いま学科試験受けたらまず不合格ですね。
私の「司書」たる知識もそんなものかもしれません。

白い司書でも黒い司書でも…

ひとしきり、赤い彗星のごとく出現し、人気をあつめたブログ。

yuki_0の日記
 http://d.hatena.ne.jp/yuki_0/

この中で、ひさしぶりに愉しいものを読ませてもらいました。

・そろそろ民間は図書館にはそぐわない,って単純にいうのはやめようぜ
 http://d.hatena.ne.jp/yuki_0/20120723/1343003611

初見では、さすがに50まじかの中年男としては、そのはじけた感じについていけないものを感じました。年齢(トシ)だねぇ…
読み直すと、先刻の印象とは裏腹に、文体以上に理路整然としているし、地道な調査・研究に裏付けられたモノであることがわかります。
なによりもいいのは“キレイゴト”でなく、自分の言葉でしっかりと語っていることがいいと思います。

で、その内容ですが…
公共図書館の指定管理者問題については、
「百花斉放!百家争鳴!!」
が望ましいことはいうまでもありません。
ただ、私的に感想を述べますと、あまりこの種の問題、

  • 正規VS非正規
  • 直営VS指定管理者

という、「対決の構図」はいかがなものか、と思ってみたりします。
まぁ、「改革・開放」は
「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」
というスタンスがベストだと思います。
その点、
「白猫よりも黒猫よりも、鼠を捕らなくても、三毛猫はかわいい」
などと考える、私のような人間が一番ダメなのでしょうね。同時に白猫と黒猫がケンカをしたら、仲裁に入るのが三毛猫の役割かもしれません。
余談になりましたが、ならばその喩えになぞらえれば、
「良い図書館(猫)とは、何か?」
とか、
「捕まえる鼠(成果)ってなんだろう?」
私は、恥ずかしいことに「暫定解」はもっていても、それが「正解」であるという確信をもつには至りませんでした。日々自分なり努力をしてきたつもりではあったし、私費で20万近い受講料・交通費を自弁して研修に参加したこともありました。
しかし、顧みると、それなりに俸給をもらっている立場にありながら、知的には「その日暮し」であったことに思い当たります。その日その時が良ければいいという考え。定職あって先々の館界を考えなければならない正規職員が、研鑽・学習・予見に関しては日雇い並の職業観だったのです。
私は氏のいう“腐った尻”をもった司書でした。
自ら進んで腐ろうとはおもわなかったけど、自らの脆弱性(学習能力とか視野の狭さとか)から腐りやすい人間であったことも間違いありません。
自覚しているから、云われんでも尻はあげるし、その際は私なりにウォシュレットを使おうとは思っています。
次回あたりでは自分の体験から
「なぜ図書“官”はダメなのか」
について書いて見ようかと思っています。
それは、書く自分にも、読む各位におかれましても、不快な体験になるでしょう。
仕方がありません。
だって、「尻ぬぐい」ですからね。