「本の相談」はなぜ否定されたのかⅡ〜奉仕対象の異動「集団から個人へ」を巡って〜

とある事典の記述 前回エントリでは、「本の(読書)案内」について触れました。今回も自分の経験と重ねて考えてみたいと思います。 私は学校図書館勤務経験がありますが、埃をかぶったかなり昔の本が「現役」であることが学校図書館の良さ(?)でもありま…

「本の(読書)相談」は、なぜ「否定」されたのか

読書案内と強硬な反対論 あまりにも有名なこの本図書館運動は何を残したか―図書館員の専門性作者: 薬袋秀樹出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2001/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (7件) を見るその中で「読書案内」に…

Overtake! 〜追い越される幸せ〜

Introduction 私が公民館報を編集する仕事について、その中で公民館と併設している図書館分館とそこで働く委託スタッフと接点ができ、 ・私がチラ見した「ベストセラー」重視・偏重1 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20120520/1337516679 本館…

「司祭」と「司書」は一字違い

あまりにお粗末なオチ いや、前回のエントリ。最後のオチで失敗しましたね。 結局、「図書館員の専門性」よりも「書店のノウハウ」が優越した、という選択の問題でしょう。いいか悪いか別として… これでは武雄市というごく局地的かつエキセントリックな「選…

武雄市の新・図書館構想が可視化した日本図書館協会の限界と司書の専門性

注)6月25日修正しました。最後の赤字の部分です。 迅速な、あまりに迅速な かねてより話題の武雄市の新・図書館構想について、社団法人日本図書館協会から声明 ・武雄市の新・図書館構想について 社団法人日本図書館協会(2012-5-28) http://www.jla.or…

元気だった大阪の足跡を潰して、“元気な大阪をとりもどそう”とは変じゃないの?

前回に引き続き「政治」ネタになってしまいます。正直自分はこの方面にはあまり触れたくないし、自分としても面白くないネタですが… 大阪府立中之島図書館の存続が話題のようです。特に個人的によくまとめてある、 ・中之島図書館廃止に関する自分用まとめ(…

エゴイズムが通れば善意が引っ込む、これ我国流民主主義

ジメジメした、うっとおしい梅雨の季節になると思いだすのが、 「天安門前事件」(1989年) のことです。 日本の「新左翼」に代表される「学生運動」とは一線を画した、理路整然とした主張、紳士的で泰然とした学生たちと、それに一定の理解をしめし対話の姿…

心身の不良のため、ブログを運転見合わせ

5月のゴールデンウイークあけから、気になっていたのですが… 実は血圧が低くなってきています。 6月にはいってからは、収縮期(最高)血圧が90㎜Hg以下、拡張期(最低)血圧が60㎜Hg以下になりました。 日曜日は、83㎜Hg/51㎜Hg。 そのためか、午…

図書館員リクエストアワー

司書が「本をすすめる」功徳 先日、「公民館報」の図書館関係原稿がまるでダメなことをお話しました。 ・私がチラ見した「ベストセラー」重視・偏重1 http://d.hatena.ne.jp/hatekupo/20120520/1337516679 大きな声では言えないのですが、わが公民館内にあ…

後日談

内科の先生に相談したら、 「高くないので命に別条はない」 と、とりあえってもらえませんでした。 ま、定期的に通っている心療内科の先生にかよったところ、2月に「投薬量を減量」した「明治製菓*1」のせいではないかとのこと。その後年度末年度初めを迎え…

収蔵スペースが寄り切った「貸出し偏重」

今日は「出納閉鎖」 本日、5月31日は、地方公共団体にとって「出納閉鎖」の日です(地方自治法235条の5)。 ご周知のとおり、「出納閉鎖」とは、当該年度の現金の移動を一切締め切り、決算に備えることをいい、4月1日から5月31日までを出納整理期間…

OPACによる「情報提供」が市民本位であれば、あの事件は!

OPACによる「情報提供」が市民本位であれば、岡崎事件はおこりえなかった。 利用者の選択の幅を広げ、問題解決に力を発揮するはずのOPACが、実は選択の幅を狭め「ベストセラー」偏重に大きく貢献してしまったのではないか、という問題提起をさせても…

(Web)OPACが推進した「ベストセラー追従・集中・偏重」〜私がチラ見した「ベストセラー」重視・偏重2

無料図書館大戦争の戦時下で 「公共図書館無料貸本屋」「ベストセラー重視・偏重・追従」をめぐる論争が勃発したのはおそらく21世紀に入ってからのことだと思います。ここで話題となったのが“貸出し”をテーゼとした『市民の図書館』です。 論争の中で疑問…

私がチラ見した「ベストセラー」重視・偏重1

このブログを、今は亡き九州発「上りブルトレ」にたとえるなら、大宮・横浜あたりまで来てしまった感じがします。こうなれば、終着まで残る大きなRIVERアーティスト: AKB48出版社/メーカー: King Records =music=発売日: 2009/10/21メディア: CD購入: 9人 ク…

CCCと武雄市図書館の提携を前向きに考えると、どうやら最強の貸出至上図書館ができそうだ。

図書館関係ブロガーのみなさんには先刻承知のとおり、CCCと武雄市図書館の提携が話題になっています。 ・【TSUTAYA図書館問題】Facebook市長がセキュリティ専門家に「公開討論を」「お背中流しまーす」と誘うも断られ「卑怯だ」経産省や国会議員経由で圧…

ブログ撤退計画

いよいよ、このブログ撤退を考えなければなりませんね。 書きのこしたいこと、自分なり整理をつけなければならないし、その場としての「このブログ」はもってこいの場でもあったわけです。 しかし、あまりダラダラ続けるコトは未練がましくていけませんよね…

学校司書を離れて出会った「立派な司書教諭」

司書教諭なんて、ラララ…♪ 今日は学校図書館ネタです。 私が高等学校で「学校司書」なる仕事(正確に云えば“学校図書館用の事務吏員”ですが)に従事していた経験は以前にも書いたとおりです。 その「学校司書」の間では、「司書教諭」に対する評価は著しくな…

あんなの(図書館の自由に関する宣言)飾りです。エラい人(司書)には、それがわかっとらんのです!

図書館員のヒロイズム 前回のエントリ、久しぶりにブクマがつきましたね。 やはりラノベ作家が面白おかしく作品題材にするだけあって、「図書館の自由に関する宣言」の愛着心は強いようです。 特に圧巻なのは、文末の 図書館の自由が侵されるとき、われわれ…

“図書館の自由”が推進する“委託の自由”

4月1日づけ人事異動の発令で「図書館職員」の辞令をもらった方々、職場になじみましたでしょうか? 私が、皆様と同じように図書館勤務となったのは10年以上も前のことだったと思います。 職場研修や県内図書館協議会などの新人研修では、 ・図書館の自由…

日本図書館協会ステップアップ研修のすすめ

忘れた頃に… 私が日本図書館協会を退会して1年以上しました。 ひょっこり、mailが日本図書館協会からとどきました。 “これって督促かな? 会費はちゃんと払ったのになぁ” と、思っていたら ・ 2012年度中堅職員ステップアップ研修(2)の募集につい…

スカートひらりで飛び越える「壁」を「城壁」にしてしまった図書館員たち〜日図協学校図書館2005-2007、再び〜

承前 前回、「JLAschool.info」についてお話ししました。 この「学校図書館の春」に引導を渡した、ワルシャワ条約機構軍のような“なんと問題研究会とかの中の人たち”だけを責めることはできないとも思います。 あの時代(2005-2007)においては… 情報格差〜…

日本図書館協会学校図書館の春〜なぜ図書館員はソーシャルメディアを嫌うか?〜

「公共」から「学校」へ 私は、公共図書館から(高等)学校図書館に異動して、ただちに日本図書館協会に部会の変更(公共図書館部会から学校図書館部会)手続きをしました。 日本図書館協会学校図書館部会(=JLA−S)では、主たる事業「夏季研修集会」な…

名もない「学校司書」賛歌

遅咲きの桜前線が北上していきます。 おそらく、本日は小中学校の入学式が行われたことでしょう。 ちなんで、学校図書館に思いつくことを書いてみます。 実は、私が図書館関係の業務についたのは、行政職・教育委員会事務局のときのことです。 内容はといえ…

春を迎えて…

みなさま、おひさしぶりです。 どうしても、平成23年度中に、この愚かなブログを「修了」いたしたく、1月の後半からとにかく年度末の道路工事のいきおいで更新を続けてきたのですが、かないませんでしたね… どの職場でもそうですが、年度末・年度初めは忙…

岡崎は遠くなりにけり?

時刻表を手に取ると、近くて遠いような、なんともビミョーな距離感のある街があることに気がつきます。 たとえば、関東地方でいえば、千葉県は「新東京国際空港」とか「東京ディズニーランド」にあるように、ほとんど東京都と一体化しているように見えるので…

資料を“マネジメント”することが“OPAC時代の図書館員のプロ倫理”

私は“分類”ができない 最近のエントリでMARCと件名の付与について言及しております。しからば “MARC”という新カテゴリを設置してみました。 新カテゴリを設けたからには、既存エントリでMARCに言及したエントリすべてにカテゴライズしなければな…

職業人(学校司書)にとって、“ただ一度だけ”の“一人だけの卒業証書授与式”

3月とは思えない、寒い日々が続いております。気候とはおかまいなしで年中行事とか通過儀礼はやってきます。先日は全県下で公立高等学校の卒業証書授与式*1が行われました。そんなワケで今日は学校図書館勤務の話をお一つ… 二つの出身高校をもつ男。 先日職…

TRCによる“共食い”の理

図書館員とTRCのビミョーな感覚 株式会社図書館流通センター(=TRC)が、1996年から図書館業務受託を開始したことで、図書館職員とTRCの間にはビミョーな距離感が発生しています。 従来あったはずの、客と請負、カスタマーとサプライヤー、主…

One year later

東日本大震災から一年が経過しました。 私の場合は、「双極性感情障害」が悪化しただけの一年でしたね。 Twitterでは罵られ、反発で罵りかえし。 使命感の一方で、個人の無力感を感じたり… いや、ほんとうに震災とは… 自分とは…

趣旨は賛成だけど〜週刊新潮:“佐藤優氏の「『図書館司書』は出版社、書店でご奉公」を読んでみた

近頃少し“司書”の“反論”にあきたところよ 今更ながら、週刊新潮2012年3月1日号所載の 佐藤優「『図書館司書』は出版社、書店でご奉公」 を読んでの感想を述べます。 読む前から、正直うんざりしていました。中身以前の問題として。 このような挑発的な記事に…